一般社団法人 日本医療情報学会

[2-J-6-01] 卓上型X線撮影トレーニングシミュレータの開発

*寺下 貴美1,2、荒井 伊莉1,3、佐藤 哲大1、小倉 敏裕1 (1. 群馬県立県民健康科学大学 診療放射線学研究科, 2. 北海道大学大学院保健科学研究院, 3. 学校法人電波学園 東京電子専門学校 診療放射線学科)

X-ray radiography training simulator, human tracking, stereo matching, augmented reality, medical education

【目的】侵襲的な医療行為の技術訓練では、実際にその行為を行うことは難しい。特に、X線撮影は被ばくの問題から、ファントム撮影やX線照射を行わないロールプレイが行われている。しかし、臨床現場とかけ離れており、訓練として不十分である。これまで我々は、実際にX線撮影のポジショニングを施した人体を光学カメラで撮影し、姿勢の情報を取得することにより、体位に合わせた仮想的なX線像を出力することができるX線撮影シミュレータを開発した。そこで実際の教育現場で利用できるようにするため、教室や多目的室などでも利用できる卓上型のX線撮影トレーニングシミュレータを開発したので報告する。【方法】本シミュレータでは手部X線撮影を扱う。シミュレータは四切サイズ(305×254 mm)の底板に高さ45mmの位置にカメラユニットを配置した形状とした。カメラユニットには4つの光学カメラを備え、それぞれのカメラは65mmの間隔をあけ、カメラ画像の中心が底板の中央になるように角度を付けて固定した。次にarduinoとタクトスイッチを用いて模擬曝射ボタンを作成した。いずれもUSBでPCに接続した。開発言語はpython、特徴点検出ライブラリはMediaPipe(Google)を使用した。検証として、手部のX線撮影(正面、側面、斜位、母指、舟状骨)のポジショニングに応じた仮想X線像を出力した。【結果】対象とした撮影法において、それぞれのポジショニングに応じた仮想X線写真を表示することが可能であった。本シミュレータは卓上型であるため、利用はX線装置のある検査室でなくても良いが、X線装置自体の操作技術は習得できない。また、管電圧や管電流、照射時間などのX線撮影パラメータを設定できないため、仮想X線写真のリアリティが乏しく、実感が得られにくい可能性がある。さらにリアリティを高める改善が必要であると考えられる。