Japan Association for Medical Informatics

[3-B-1-04] CDISCとの連携による生活習慣病自己管理項目セットの国際標準化

*Naoichi Sato1, Naoki Nakashima2 (1. Kyushu University Hospital Medical Information Center, 2. Medical informatics, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University)

診療、地域連携、臨床研究、患者教育と様々な目的で収集される医療情報を効率的に利活用するためには情報システムの相互運用を可能とし、プラットフォームに依存しないデータ標準の開発が必要となる。
我々は生活習慣病領域においてデータ項目や単位、データの粒度を標準化することに取り組んできた。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本動脈硬化学会、日本腎臓学会、日本臨床検査医学会、日本医療情報学会が連携して、2014年2月までに4疾患についてどのような目的のデータ収集にも含むべき「生活習慣病コア項目セット集」、軽症の生活習慣病患者が自己管理をするための「生活習慣病自己管理項目セット集」を策定・公開した。2018年度には自己管理項目セットに基づきPHRに実装し、生活習慣病の予防・管理において利用するための参考指標として「PHR推奨設定」を策定、公開した。
2023年度には国際的な医学研究を推進するための標準化の取組みとして日本糖尿病学会・日本医療情報学会とCDISCが連携し、自己管理項目セットと研究データ集計のためのCDISC標準であるStudy Data Tabulation Model(SDTM)とのマッピング作業を行った。手法として自己管理項目セットの全43項目のレビューを行い、30項目についてはSDTMでモデル化するためのリソースまたはコード値を有し、SDTMと整合性があることを確認できた。また病歴、診断年齢、ライフログ項目など13項目についてはSDTM でモデル化するための議論は必要となるが、多くは既存の概念と密接に一致し、整合性を取ることは可能であると考えられた。
今回の研究を契機としCDISCとの連携がより深化し、データ収集・集計や統計解析の国際標準化により組織間(企業、規制当局、ARO、アカデミア)でのデータ共有/交換が可能となり、国際的な臨床研究の精緻化にも繋がることに期待したい。