[3-B-1-05] CDISCのRWDイニシャティブ
CDISCはこれまで一般的な治験の電子的標準を決めて推進してきたところであるが、米国のFDAが近頃毎年のようにReal World Data (RWD)の活用に関するガイドラインを発出したり、Real World Evidence (RWE)を求める文書もFDAのみならず各国の規制当局から発表されるようになり、RWDによる医薬品の新薬承認や適用拡大など承認データにも活用される事例が出てきたので、CDISCとしてもRWDにCDISC標準を適用することを検討するようになった。まずCDISCの専門家諮問委員会(Expert Advisory Board)が関与して各国の主要関係者に対して、RWDのCDISC標準を実装する際の障壁を理解し、CDISC標準をさらに容易に実装するのに必要なツールやガイダンスを特定するためのデルファイ調査を実施して、2022年にJMIR Medical Informaticsに発表している。さらにCDISC標準の中でもStudy Data Tabulation Model (SDTM)を観察研究やRWDに実装するためのドキュメントが2024年にCDISCから発表された。これはCDISC標準のドキュメントという位置づけではなく、情報提供という対応の提案である。観察研究についても通例のコホート研究や症例対照研究、さらには外部対照研究も考慮している。日本においても次世代医療基盤法に則ったRWDの活用ではデータの授受にCDISC標準を用いることも有用と思われ、著者らもAMED課題番号JP21lk0201701の支援を受けて生物統計家の育成をしているが、RWDを解析することも多く、データ様式の表記にCDISC標準を活用することがある。今後もCDSICにおいてRWDの活用はさらに進むと思われ、その動向を注視していきたいと考える。
