Japan Association for Medical Informatics

[3-B-4-03] 知識グラフ・オントロジーとLLMの相互活用による知識システムの開発

*Kouji Kozaki1 (1. Osaka Electro-Communication University)

Knowledge Graph, Ontology, Large Language Model

人工知能において,知識や意味に基づいた推論処理や知的なシステム開発を行うセマンティック技術の分野では,知識グラフ・オントロジーが知識を適切に扱うための中核技術のひとつに位置づけられる.知識グラフは,知識のつながりをネットワーク型のグラフ構造で表現したもので,AIシステムによる検索・推論などの処理を通して得られた結果の根拠を,処理に用いられた知識の構造を明示することにより説明することがきる点が特徴である.その際,知識グラフで表される知識の概念構造や意味を明確するための概念体系として用いられるものがオントロジーである.知識グラフ・オントロジーはさまざまな分野で構築・利用されているが,構築に必要なコストや,曖昧性が高い知識への適用などの課題がある.
 一方,機械学習や深層学習など,多量のデータを用いた学習によりAIシステムを開発する手法においては,大規模な言語データを学習した大規模言語モデル(LLM)に基づく生成AIの活用が注目されている.LLMの活用は,セマンティック技術の研究利用においても大きな可能性があると考えられており,既にさまざまな研究が行われている.しかし,LLMが生成される内容には正確性や根拠の暗黙性などの課題があり,それらの課題については知識グラフやオントロジー活用による解決が期待される.
 本発表では,知識グラフ・オントロジーおよびLLMについて,それぞれ特徴と課題を踏まえ,これらの技術の相互活用に基づくAIシステムの開発の方向性について議論する.具体的には,セマンティック技術分野におけるLLM活用の動向,「ナレッジグラフ推論チャレンジ2023〜生成AI時代のナレッジグラフ構築技術〜」などの国内で実施した取組み,研究事例などの紹介を通して,知識グラフ・オントロジーとLLMの相互活用に関する現状と課題を検討する.