Japan Association for Medical Informatics

[3-B-5-01] 臨床現場への医療DX実装を地域で支える人材の育成

*Takumi Tanikawa1,2 (1. Hokkaido University of Science, 2. JAMI Healthcare Information Technologist Development Committee)

これから10年後の医療の姿はどのようになっているだろうか。厚生労働省の医療DXに向けたロードマップによれば、近い将来、すべての医療機関に電子カルテが導入され、全国医療情報プラットフォームで主要な医療情報が共有される。地域で機能分担した医療機関はその情報を活用し、シームレスに地域医療を行っていく。情報処理技術は現在よりもさらに発展し、低遅延の高速大容量通信、高性能半導体、ウェアラブルデバイスやAR技術が普及する。そして、カルテ作成から文書作成、画像診断にいたるまで様々な領域でAIが診療支援に活用される。これは、まさにわくわくする未来の医療像だ。一方、既に我が国は急速な人口減少社会に突入している。特に農村部において過疎化がより顕著に進むと予想されており、地域によっては患者数が減少するとともに、医療従事者の確保も難しくなっていくだろう。人口減少社会の困難な課題に対して、我々は10年後の医療の姿を思い描きながら向かいあっていくことになる。それぞれの医療機関が地域医療の要として生き残っていくためには、必然的にデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んでいかなければならない。そのなかで経営管理者の片腕となり、診療業務と情報処理技術の双方に精通していて、DXを推進していくことができる人材は大変貴重である。本学会が育成している医療情報技師と上級医療情報技師は、医療情報基盤の整備からデータの利活用までを担える「医療情報のプロフェッショナル」である。本講演では医療情報技師の育成について紹介するとともに、医療情報技師が臨床現場への医療DX実装を地域で支える人材として活躍していく可能性と課題について議論したい。