[3-C-1-03] 漢方薬の多剤併用の定義における単位時間の影響
Kampo Medicine, Polypharmacy, Real World Data, Electronic Health Records, Validation
【目的】薬剤の多剤併用は時に有害事象の増加などのポリファーマシーにつながり、医療・公衆衛生上の課題となっている。我々は使用頻度に比して検討が不足している漢方薬に着目し、これまでに漢方薬被処方者のおよそ1/5に日単位での漢方薬の多剤併用があったことを報告した。本研究では、漢方薬の多剤併用の定義の妥当性に関して、月単位でも多剤併用を正確に捉えることができるかを検証した。
【方法】対象は2008年1月1日~2018年12月31日の間に九州大学病院を受診し、医療用漢方製剤を処方されたことがあるすべての患者とした。該当患者のすべての漢方薬処方オーダーのうち、処方日を算出可能な用法が指定されたものを対象として、多剤併用の有無を日単位および月単位でそれぞれ集計した。多剤併用の定義は同一日または同一月の間に2種類以上の医療用漢方製剤を処方されたこととした。妥当性の指標として、日単位での多剤併用をゴールドスタンダードとみなした場合の月単位での多剤併用の陽性的中率を算出した。
【結果】解析対象となった25,319名のうち、対象期間中に日単位での多剤併用があった者は4,896名(19.3%)、月単位での多剤併用があった者は5,599名(22.1%)であった。月単位での多剤併用の陽性的中率は87.4%であった。
【考察・結論】漢方薬の多剤併用の定義において、単位時間を日単位から月単位に変更しても、その妥当性に大きな影響は与えなかった。日単位での詳細なデータを入手できない場合や日単位では計算量が莫大になる場合に、月単位で多剤併用を定義することも妥当な選択肢となり得ることが示唆された。本研究成果は今後より大規模なデータベースを用いて漢方薬の多剤併用について検討する際の基礎資料として有用である。
【倫理的配慮】本研究は九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会の承認のもと実施した(24047-00)。
【方法】対象は2008年1月1日~2018年12月31日の間に九州大学病院を受診し、医療用漢方製剤を処方されたことがあるすべての患者とした。該当患者のすべての漢方薬処方オーダーのうち、処方日を算出可能な用法が指定されたものを対象として、多剤併用の有無を日単位および月単位でそれぞれ集計した。多剤併用の定義は同一日または同一月の間に2種類以上の医療用漢方製剤を処方されたこととした。妥当性の指標として、日単位での多剤併用をゴールドスタンダードとみなした場合の月単位での多剤併用の陽性的中率を算出した。
【結果】解析対象となった25,319名のうち、対象期間中に日単位での多剤併用があった者は4,896名(19.3%)、月単位での多剤併用があった者は5,599名(22.1%)であった。月単位での多剤併用の陽性的中率は87.4%であった。
【考察・結論】漢方薬の多剤併用の定義において、単位時間を日単位から月単位に変更しても、その妥当性に大きな影響は与えなかった。日単位での詳細なデータを入手できない場合や日単位では計算量が莫大になる場合に、月単位で多剤併用を定義することも妥当な選択肢となり得ることが示唆された。本研究成果は今後より大規模なデータベースを用いて漢方薬の多剤併用について検討する際の基礎資料として有用である。
【倫理的配慮】本研究は九州大学医系地区部局観察研究倫理審査委員会の承認のもと実施した(24047-00)。
