一般社団法人 日本医療情報学会

[3-C-2-02] 臨床検査標準コード(JLAC)について

*堀田 多恵子1 (1. 九州大学病院検査部)

医療情報ビッグデータの中核の一角を占める臨床検査データの有効利活用は長い間渇望されてきた。国内における検体検査を含むリアルワールドデータ(RWD)の利活用事例として既に医療情報データベースMID-NETが知られている。MID-NETは800万人(2023年12月時点)規模のRWDであり、検体検査の突合にはJLAC10が使用されている。JLAC10は厚生労働省より臨床検査の標準コードとして推奨されており、PMDAはMID-NET 10拠点・33協力医療機関のJLAC10を厳密にガバナンス(整合)することにより高い品質を保持している。
一方、2025年に予定されている電子カルテ情報共有サービス開始に伴う検体検査表記についてはMID-NET方式の中央採番は困難であり、できるだけ検体検査結果の発生源でリアルタイムに標準コードを採番することが必要になる。これにはJLAC11を使用することが推奨される。JLAC11を推奨する理由は2つある。一つは検体検査結果の発生現場では測定試薬・測定機器の情報を得易く、測定試薬・測定機器情報から誰でも正確なJLAC11を採番することができる。また、検体検査結果の発生現場で厳密に日々実施されている精度管理がそのままデータ品質保証となる点である。
臨床検査標準コードが十分に機能しているとは言い難いと言われて久しい。中央付番であるJLAC11が過不足なく提供され、JLAC10-JLAC11突合する体制は医療データ活用基盤整備機構(IDIAL) JLACセンターを中心に整備されつつある。検体検査結果の発生源でリアルタイムに標準コードを採番することは今まではなかった新たな役割である。電子カルテ情報共有サービス推進に向けてはJLAC10/11標準コード収納するシステム変更や対応する人材の育成が急務であると考える。