Japan Association for Medical Informatics

[3-C-5] デジタルヘルスがもたらす腎疾患マネージメントのパラダイムシフト

*Haku Ishida1 (1. General Incorporated Foundations Junpukai)

近年、我が国においてもデジタルヘルスが疾患の予防、診断、治療において重要な役割を果たすことが期待されている。特に健康アプリに加えてPHR(Personal Health Record)等を基盤とした治療への患者エンゲージメントを高めるデジタル治療用アプリ(digital therapeutics)の導入による疾病のセルフマネージメント支援、さらにはAI等による個々の患者に適した学習プロセスの提供による行動変容支援の機能等を有するデジタル技術が我が国の医療システムに新たな可能性をもたらしている。そのような背景のもと、罹患率の高い慢性腎臓病(CKD)を中心とした腎疾患領域においても同様にその予防や治療,特に生活習慣などのセルフケア改善や治療へのモチベーション改善などへのデジタルヘルスの活用に期待が寄せられ、様々な研究が展開されている。本シンポジウムでは、我が国において腎疾患領域におけるデジタルヘルスの基盤となる臨床研究やメタ解析におけるエビデンス生成、および、臨床へのシステム導入の第一線で活躍されている方を招き、CKDの臨床データベースを用いた研究成果、CKD等の予防や治療を目的とした様々な健康アプリや治療アプリの効果についての文献的、および新たな臨床研究による検討、さらには、CKD、および糖尿病性腎臓病(DKD)患者を対象とした治療アプリの導入状況と腎症進展予防への効果等について口演をいただく予定である。また、口演後にはデジタルヘルスや治療アプリ特有の課題、例えばその長期効果の検証やアプリのライフサイクルなどの包括的な議論を予定しており、これらの口演、議論を通して、現状の理解とともに従来の腎臓病領域の予防・治療領域におけるパラダイムの変革をもたらす新たな知見の創出をめざした今後の研究活動に繋がればと期待するものである。