Japan Association for Medical Informatics

[3-C-5-03] デジタル技術による持続可能な医療

*Taro Ueno1 (1. SUSMED Inc)

SaMD, ICT, Insomnia, CKD

医師の働き方改革をはじめ医療の効率化が課題となる中、医療分野におけるデジタル技術の活用が求められる。睡眠医療においては、不眠症に対する治療法として非薬物療法である認知行動療法が推奨される一方で、医療現場におけるリソース不足から実臨床での普及が課題となってきた。近年、薬機法の規定するプログラム医療機器としてモバイル端末を用いた治療用アプリが開発され、疾患治療のために医療現場での普及が進んでいる。英国政府ガイドラインでは不眠症治療において、睡眠薬ではなく治療用アプリを推奨しており、エビデンス・プラクティス・ギャップを埋めるための治療手段として活用されている。我々は日本における不眠障害治療において国内外のガイドラインで推奨する認知行動療法の普及を目指し、不眠障害に対するdCBTを実施するプログラム医療機器を開発してきた。本品は独立行政法人医薬品医療機器総合機構への相談を経て、GCP省令下における治験を実施した。本邦における治験結果を受けて、本品は不眠障害に対するプログラム医療機器として厚生労働省による承認を受けている。さらに慢性腎臓病に対するプログラム医療機器の開発も腎臓リハビリテーション学会のご支援のもと、アカデミアとともに進めている。
臨床研究・治験の停滞は、日本において医薬品・医療機器の承認の遅れの原因となり、適切な医療を国民が受ける上での障害となりうる。我々はブロックチェーン技術を用いた臨床開発の効率化を進め、内閣府規制のサンドボックス制度に認可され、得られた成果をもとに厚労省より本技術に対する承認通知が発出された。その後、複数のAMED事業を大学病院や国立センターと実施した他、企業治験での活用を進めている。
本講演では、デジタル技術を活用したプログラム医療機器開発や臨床開発の取り組みについて紹介するとともに、その展望について考察する。