Japan Association for Medical Informatics

[3-C-5-04] 2型糖尿病患者の食事写真から栄養素を評価するための商用人工知能の活用

*Kayo Waki1 (1. Graduate School of Medicine and Faculty of Medicine, The University of Tokyo)

欧米諸国では糖尿病の管理や治療を目的としたICT(情報通信技術)を用いたデジタルヘルス(digital health)システムが多数開発され、その有効性が検討されてきた。国内でもこういったシステムを治療に用いる試みが進められ、digital therapeutics(DTx)として注目され禁煙、高血圧、不眠症治療に用いられている。当研究室では、2型糖尿病患者を対象とした自己管理支援システム(DialBetics)を開発し、自己管理支援への利活用を進め、現在、国内10医療機関と共に医師主導治験を進めている。その一方で、DTxの普及に向けた新たな取り組みとしてアプリの利便性の改善に取り組んでいる。その一例として、食生活の改善に焦点を当てたアプリについて紹介する。
食物繊維の摂取量が多いことが、糖尿病患者や一般の人々、特に高齢者における健康結果を改善するというエビデンスがある。しかし、このエビデンスにもかかわらず、食物繊維の摂取量は推奨されるレベルを大きく下回っている。食事のガイドラインを達成するのを妨げる理由として、日常の食事選択における食物繊維の含有量に関する知識の欠如が含まれている。食物繊維の摂取量を増やすために多くの介入が行われてきが、利用率の低さという一貫した問題があり、これはおそらく複雑な食事記録インターフェースなどの負担が原因と考えられる。人工知能(AI)は顕著な進展を遂げており、今や食事介入を改善することが期待される。特に、現在の技術では、写真ベースの食事記録が可能となり、食事記録の負担を劇的に軽減し、非常に魅力的なユーザーインターフェースが提供されている。当研究室は、現在のAI技術を使用することで、食物繊維に焦点を当てた介入の効果が劇的に向上すると期待している。