Japan Association for Medical Informatics

[3-D-1-01] 癌ゲノム医療支援システムの開発
- 京都大学医学部附属病院の経験 -

*Keita Fukuyama Fukuyama1, Shigemi Matsumoto2, Manabu Muto3, Tomohiro Kuroda1 (1. 京都大学 医学部附属病院 医療情報企画部, 2. 京都大学 医学研究科 リアルワールドデータ研究開発講座, 3. 京都大学医学部附属病院 腫瘍内科)

Comprehensive genomic profiling tests, Hospital collaboration, Workflow automation

【目的】2019年の保険承認により、地域の中核を担うがんゲノム医療中核病院、連携病院において進行悪性腫瘍に対するがん遺伝子パネル検査が実施可能となった。これは複数の病院間で複雑な情報をやり取りし、治療における高度な判断を下すこれまでにない取り組みであった。一病院で完結する電子カルテでは対応困難な診療行為であり、多くのがんゲノム中核病院で専用のシステム開発がされている。
京都大学医学部附属病院では、保険診療パネル検査開始前から自費診療での遺伝子パネル検査を開始し、結果の管理、研究利用に取り組んできた。癌ゲノム医療の為求められた主要な要件は以下である。
・関連病院を含めた複数の症例について、カンファレンスを行い、レポートを返却する
・症例情報を供覧しつつ、推奨薬剤、治療、治験を記載可能とする
・複数のパネル検査の検出変異を機械的かつ網羅的に格納する
・主要機能を電子カルテネットワーク内で完結する
【方法】本システムは、Filemakerにより、2019年1月にカンファレンス内容記録システムとして稼働を開始した。同年11月にレポート生成機能を追加し、自費診療から、保険でのパネル検査開始への対応、さらに以下の機能を追加した。
・xml, csvをインポート機能
・ファイル転送自動化RPA
・二次利用ファイル出力
・薬剤注釈候補を自動化
【結果】2024年6月現在、11種のパネル検査を含んだ4830検査(一部重複症例を含む)、73000バイオマーカーの情報が蓄積されている。過去の症例を参照し、後ろ向き観察研究としての集計や、前向き研究の対象者を検索することが可能である。
【考察・結論】本システムは開発者一名体制を継続したため、開発、継続の持続性が乏しく、2024年8月より富士通ジャパン社システムへの置き換えが予定されている。
【倫理的配慮】施設IRBで審査された研究としてデータ収集、利活用を行っている。