一般社団法人 日本医療情報学会

[3-D-1-02] 健康経営・産業保健分野におけるデジタルヘルスケアサービスの利用実態・利用意向に関する調査

*城岡 秀彦1、小山 智也1、六川 武美1、森 友紀子1、小林 正克1 (1. 日本デジタルヘルス・アライアンス)

Digital Health, Health and Productivity Management, Occupational Physician, Prevention and Health Promotion, Personal Health Record

【目的】
日本デジタルヘルス・アライアンス(JaDHA)は、デジタルヘルス産業の育成及びデジタルへルス(DH)の利活用の促進を目指す多様な業種が参画する団体である。本調査では、健康経営・産業保健分野におけるデジタルヘルスサービス(DHS)の適切な選択と利活用を促す方策を検討するために、産業医に対するアンケート調査を行った。
【方法】
インターネットパネル、JaDHA会員企業、および調査趣旨に賛同した産業医を募集し、WEBアンケート調査を行った。データ固定後、解析対象集団の採否を検討し、主解析および層別解析を実施した。なお、DHSは、「運動指導、栄養指導のような生活習慣の改善をはじめとして、アプリ・ウェアラブルデバイス等のデジタル技術による行動変容介入」と定義した。
【結果】
解析対象集団として不適格の1名を解析から除外した104名のサンプルを得た。80%以上の産業医が「人に加えて、デジタルの上乗せであれば価値を出すことができる」以上の選択肢を回答した。企業等において導入済みまたは検討中のDHSは、運動習慣、禁煙、食生活、生活習慣病やメンタル不調が中心であった。導入決定要因としては、科学的なエビデンスに基づく有効性やユーザビリティが重視する傾向がみられた一方、中小規模の企業では導入実績や利用者の口コミも重視する傾向がみられた。また、導入障壁としては費用負担と費用対効果の不確かさ、使い勝手、効果測定方法等が挙げられた。
【考察・結論】
DHSの導入判断に必要な情報の開示不足や導入企業における情報取得方法の煩雑さが、特に中小規模の企業でのDHSの適切な選択と利活用への課題の一因と考えられた。DHSの利用促進のためには、健康課題解決の選択肢としてのDHSの価値の確立や認知向上、情報開示の促進や比較可能性向上に向けた産学共同での活動が求められる。
【倫理的配慮】
本調査は、ヒト試料を⽤いた基礎研究および臨床研究・疫学調査に該当しない。