[3-D-2-01] 次世代医療基盤法の改正概要と活用方策
the Act on the Protection of Personal Information, the Next Generation Medical Infrastructure Act, anonymization, pseudonymization, electronic medical chart
個人情報保護法において,要配慮個人情報の取得及び第三者提供には本人の同意が必要である。次世代医療基盤法に基づく医療情報利活用のメリットは,異なるデータソースに由来するデータをオプトアウトで連結できることである。このメリットが活かされるためには,中核医療機関のみではなく地域医療を担う中規模以下の医療機関や自治体からも情報を収集することが認定作成事業者に求められる。J-MIMOは3事業者ある認定作成事業者の一つであり,国立病院機構や大学病院と契約して約150万人の電子カルテデータを取得しており,地域を網羅する情報の収集にも力を入れている。本人への通知に対して,提供停止率(オプトアウト率)は,2024年6月現在,約0.1%となっている。次世代医療基盤法が2018年に施行されて6年間が経過し,改正法が2024年4月に施行された。仮名加工医療情報が新設されるとともに,NDB,DPCDB,介護DBといった公的DBとの連結が可能となるとともに,NDBに死亡情報を収載することや他の公的DBへの連結対象の拡大も計画されている。これらにより,希少疾患の詳細な分析,PMDA等による特例的な原本確認,入退院前後の投薬情報や介護サービス利用状況の把握等が可能となる。仮名加工医療情報利用事業者も認定を取得する必要があることが課題となっているが,J-MIMO等の認定作成事業者において,利用事業者の認定申請についても一定程度の支援が可能である。将来的には,2次利用を主目的とする次世代医療基盤法と1次利用を主目的とする医療DXとの統合により,妊婦健診から後期高齢者健診を経て死亡までのライフコースデータ,及び地域全体の保健医療福祉データを統合し,地域全体のライフコースデータにわたる保健医療福祉データを統合し,エビデンスに基づく地域共生社会の実現も夢ではない。
