一般社団法人 日本医療情報学会

[3-D-2-02] 認定匿名加工医療情報作成事業者へのデータ提供にかかる取り組み

*中村 直毅1、寺澤 篤史1、園部 真也1、藤井 進1,2,3 (1. 東北大学病院、2. 東北大学災害科学国際研究所、3. 慶應義塾大学大学院)

Certified Anonymized Medical Information, EMR, Data Provision, Opt-out Notification

2018年5月11日次世代医療基盤法が施行された。この法律によって、患者さんに対し認定匿名加工医療情報作成事業者に医療情報が提供される旨をお知らせし、提供を停止するかどうかを選択する機会を与える丁寧なオプトアウト通知の手続きを経ることで、認定匿名加工医療情報作成事業者にデータ提供できるようになった。しかしながら、医療機関では、これらの取り組みを始めるための準備や具体的な作業を、どのように行うべきか模索している状況である。東北大学病院では、2022年1月31日に認定匿名加工医療情報作成事業者である一般財団法人日本医師会医療情報管理機構(J-MIMO)と契約を締結し、医療情報を提供する取り組みに踏み出した。円滑かつ効率的にオプトアウト通知を実施するため、再来受付機でオプトアウトの通知書を自動で印刷し、患者さんに配布している。同時に、電子カルテの利用者プロファイルで、通知書の配布の記録およびデータ提供の停止の意思表示情報を管理している。また、患者さんがデータ提供を拒否する場合には、J-MIMOのフリーダイヤルのコールセンターに連絡する形態を取っている。また、提供する医療情報は、SS-MIX2標準化ストレージ、レセプト・DPC情報としており、作業用のPCを使って送付用データを作成し、セキュリティ便を用いて郵送している。オプトアウト通知では、人的コストは特別に要していないが、データ提供のために、1回あたり、準備に2時間程度、送付に5時間程度の稼働を割いており、郵送からオンラインに送付方法を見直すことで、作業の効率化を予定している。2023年3月1日から患者さんへのオプトアウト通知を開始し、現在までに9万人超の患者への通知とデータ提供を行ってきた。今後も、患者さんの個人情報の保護と医療情報の利活用のバランスを保ちながら本取り組みを継続し、医療の発展に寄与することを目指したい。