[3-D-2-03] 次世代医療基盤法を活用する研究機関の倫理審査委員会と管理体制
The Next Generation Medical Infrastructure Act, ethics committee, data protection
医療情報を二次利用する研究の多くは、人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(以下、「倫理指針」という。)が適用され、倫理審査委員会による審査が必要となる。一方で、次世代医療基盤法に基づき認定作成事業者から匿名加工医療情報又は仮名加工医療情報の提供を受けて実施する研究は倫理指針の適用とならず、倫理指針の定める倫理審査委員会による審査を経る必要はないとされている。ただし、認定作成事業者が研究機関に加工情報を提供するためには、認定事業者が設置した審査委員会による審査が行われる必要があり、ガイドラインにおいて委員会の委員構成が生命・医学系指針の倫理審査委員会とほぼ同一であることを規定していることから、当該審査によって倫理審査委員会の機能的役割は代替されることとなる。
このように規制上では必要がないとされたとしても、自機関での倫理審査が行われないことに対して不安を覚える研究者や研究機関もあるだろう。特に、倫理審査委員会事務局が機関における実質的な研究管理部門を兼ねている場合においては、審査が無くなったことによる管理機能の欠如を懸念するかもしれない。また、認定作成事業者から提供された匿名加工医療情報とNDBを連結して解析するような研究の場合は、倫理指針の適用も受けることとなることから、認定作成事業者の委員会に加えて倫理指針で定める倫理審査委員会の審査も必要となる。これらの点を踏まえて、次世代医療基盤法を活用する研究の把握・管理をどの程度行う必要があるのかについて、研究機関として考える必要があるだろう。
本報告では、改正された次世代医療基盤法に基づいて認定作成事業者から加工情報の提供を受けて実施する研究の類型を確認し、研究を把握・管理するために必要となる研究機関の機能や体制について検討することとしたい。
このように規制上では必要がないとされたとしても、自機関での倫理審査が行われないことに対して不安を覚える研究者や研究機関もあるだろう。特に、倫理審査委員会事務局が機関における実質的な研究管理部門を兼ねている場合においては、審査が無くなったことによる管理機能の欠如を懸念するかもしれない。また、認定作成事業者から提供された匿名加工医療情報とNDBを連結して解析するような研究の場合は、倫理指針の適用も受けることとなることから、認定作成事業者の委員会に加えて倫理指針で定める倫理審査委員会の審査も必要となる。これらの点を踏まえて、次世代医療基盤法を活用する研究の把握・管理をどの程度行う必要があるのかについて、研究機関として考える必要があるだろう。
本報告では、改正された次世代医療基盤法に基づいて認定作成事業者から加工情報の提供を受けて実施する研究の類型を確認し、研究を把握・管理するために必要となる研究機関の機能や体制について検討することとしたい。
