一般社団法人 日本医療情報学会

[3-D-2-05] 民間事業者における医療データ利活用の現状と課題、促進に向けた期待

*沼澤 功太郎1 (1. 株式会社4DIN)

Real-world data (RWD), clinical big data, clinical research

医療ビッグデータ市場は国内外とも堅調に拡大し、2035年には約7,000億円規模まで成長すると推計されている。医薬品開発における実臨床データ(リアルワールドデータ)の利活用は、創薬から上市後まであらゆるプロセスで利用促進が見込まれている。他方、法制度整備やデータの量・質の確保、データ利用までの実務的な負担・ハードルの高さ等が起因し、本格的な利用はこれからという段階にある。弊社は、電子カルテをはじめとする医療データを匿名化し、医療機関・研究施設の医学研究者が利用できるデータ分析プラットフォーム、オンラインによる統計解析・論文化支援サービスを提供している。また、製薬企業等のリサーチニーズに対して、アカデミアと企業の橋渡しを行い共同研究スキームの元、リアルワールドエビデンスの創出を支援している。医療データ活用を促進させるためには、アカデミア・企業に属する研究者が持つ臨床上の課題・気づきを速やかに可視化し仮説検証できる環境と、さまざまな困難を外部から支援するサポート業務の両面が重要であり、医療ビッグデータ市場を健全に成長させるドライバーとなると考えている。本稿では、医療データプラットフォーム事業者における実務者の観点から、日本国内における医療データを用いた利活用ニーズの動向、次世代医療基盤法認定事業者とのアプローチの差異、民間事業者側の抱えている課題について整理し、研究開発環境のあるべき姿や今後の民間事業者・認定事業者間のコラボレーションの可能性等について論考する。