一般社団法人 日本医療情報学会

[3-D-5-02] D to P with Nとへき地医療、看護師等遠隔診療補助加算について

*西村 謙祐1、原田 昌範2 (1. 岩国市立本郷診療所、2. 山口県立総合医療センター)

Video Consultations, Rural Medicine, Addition Fee for Nurse Support

遠隔医療は従来、へき地・離島に限定的に認められてきた。へき地・離島における有効活用が期待される中、平成30年(2018年)に「オンライン診療の適切な実施に関わる指針」の発出と、「オンライン診療料」等の診療報酬が創設された。当初の様々な規制の中、我々は令和2年(2020年)2月より、へき地・離島における医療確保、地域住民の安心した暮らしを支える地域医療の提供を目的に、山口県内でD to P with Nのオンライン診療の実証研究を開始した。その後、コロナ禍におけるオンライン診療の時限的・特例的な取り扱いに続き、令和4年(2022年)の指針改定では、かかりつけ医や診察前相談等の条件下で初診へのオンライン診療が可能となる等、規制緩和が進んだ。また、へき地医療におけるD to P with Nの有効性が認められ、令和6年度診療報酬改定ではへき地診療所及びへき地医療拠点病院における「看護師等遠隔診療補助加算」が新設された。へき地医療におけるD to P with Nのオンライン診療の有効性が一般的に認識されつつある。また、一般的なオンライン診療の活用は全国的に拡大している。そのような状況下でも、へき地・離島におけるオンライン診療の活用は未だ十分とは言い難い。我々は現在まで、へき地・離島におけるオンライン診療の有効性・安全性を実証してきた。へき地・離島の環境的特性や、高齢者が多いためITリテラシーの低さや聴力低下が、オンライン診療の阻害因子となるが、看護師が患者の傍で支援することで円滑なオンライン診療が実施可能である。また、へき地・離島の医療確保や地域住民の安心した暮らしを支える地域医療の提供に貢献可能と考える。今後、更に人口減少が進み、医療体制の確保が難しくなる我が国のへき地・離島において、D to P with Nを主軸としたオンライン診療が、安全性・信頼性を担保しつつ普及・啓発されることが重要と考える。