Japan Association for Medical Informatics

[3-D-5-03] CPAPのオンライン診療と情報通信機器による疾病管理

*Yasuhiro Tomita1 (1. Toranomon Hospital)

disease management, patient healthcare record (PHR), teleconsultation, telemonitoring

睡眠時無呼吸の持続陽圧呼吸療法(CPAP)は,夜間睡眠中にマスクを装着することによって治療効果が得られるが,毎晩装着しなければ期待した効果は得られず,CPAPの使用頻度,使用時間といった指標が,治療効果を予測する上で重要である。治療を遵守できるかどうかという意味で,CPAPのアドヒアランスは治療上の重要な課題である。CPAPのアドヒアランスを確認するために,かつてはCPAPに挿入されたSDカードを外来に持参する形の運用が通常であったが,現在はデータがクラウド上に集積されており,これをモニタリングする形でデータを確認できる。遠隔医療の分野において遠隔モニタリングと呼ばれる仕組みである。
睡眠時無呼吸それ自体は減量によって改善し得るが,根治を目指すことは難しく,よい睡眠が継続して得られるようにCPAPのアドヒアランスを維持することが治療の長期目標となる。多くの慢性疾患は,生活習慣に関連する健康指導を継続し,疾患の悪化を防ぐための「疾病管理」が目標となるが,睡眠時無呼吸も例外ではない。慢性疾患の「疾病管理」においては,治療からの脱落を防ぐためにも適切な頻度で介入をすることが重要である。勤労者世代に多い睡眠時無呼吸の治療においては,通院負担を大きく感じる人も多く,通院頻度を減らすことによりアドヒアランスが悪化したり,通院継続を困難と感じることによって治療から脱落することもある。
令和6年度の診療報酬改定において,CPAPのオンライン診療が「情報通信機器による疾病管理」の一環として位置付けられた。オンライン診療では,診察において得られる情報が限られることには注意が必要であるが,遠隔モニタリングを利用できるCPAPの指導と管理においては必要な情報を確保しやすい。対面診療と適切に組み合わせることにより診療の回数を確保できるメリットは大きく,より質の高い「疾病管理」につながることが期待される。