[3-E-1-03] 異種データを活用した高齢者事故の予防策の検討と日常生活における介入の効果評価
Fall injury prevention, Injury situation, Heterogeneous data
日常生活において高齢者の事故は日々起きており,特に転倒事故は様々な場所で起きることから,予防が難しい.実施できる予防策は,エクササイズや手すりの設置など,限定的である.この課題を解決するには,転倒事故の状況を把握し,それに対して可能な介入を行う必要があるが,そのための転倒の状況を詳細に記録したデータは少ない.転倒はあらゆる場所で発生するため,そのようなデータを収集するためには,日常生活環境のあらゆる場所を常に記録する必要があるが,プライバシの問題があり,現状では難しい.それに対し,著者らは,事故データと著者らが整備した日常生活行動を記録した動画ライブラリとを組み合わせて,事故状況を理解する手法を提案してきた.それにより,事故状況と実際の行動や環境の使い方などの具体的な状況の理解が可能となる.本研究では,事故データと動画ライブラリを用いて整理した転倒事故状況を対象に,予防策検討のための実験室での実験による詳細なデータ収集と,実際に作成した予防策について生活空間での効果評価を実施した.具体的には,立ち上がりや座る動作の際に,転倒事故が多いことから,それらの動作を支援する環境として,手すりつきのテーブルを製作し,それによる動作の変化を検証した.本稿では,この一連の流れを,複数のデータを組み合わせることで,転倒予防のために制御可能なパラメータを増やし,日常生活での課題解決につなげる方法として整理して紹介する.
