Japan Association for Medical Informatics

[3-E-2-02] ネットワーク技術と医療の未来
― インターネット技術の最新動向 ―

*Yoshifumi Atarashi1 (1. ALAXALA Networks, Corp.)

インターネットは2000年頃と現在ではTCP/IPを使うというところは変わっていないが、実態は様々な技術が進歩し変化してきている。この変化はビジネスのプラットフォームというだけでなく、社会を支える情報インフラとして対応するための変化であり、「安い、速い、常時接続」から「いつでも、だれでも、なんでも、どこでも、安全に、安定的に」というものである。たとえば、世界中の人たちが使えるようにするためにアドレス長が128bitのIPv6やQuicといった新しいトランスポート層の技術である。web関連のプロトコルもhttp2やhttp3となり、トランスポートプロトコルもTCPだけでなく、UDPで効率よくhttpを伝送するためのQUICも使われている。また、 IoTデバイスの接続技術としてMutterが開発されている。これはGAFAが家庭用デバイスなどを接続する共通規格であり、開発キット等の整備もすすんでいる。一方、ネットワーク管理技術もセキュリティや仮想化への対応や接続されている機器の管理が必要になる。古くはSNMP/MIBやpingによる死活監視程度だったが、現在はコンピュータ技術の進歩により、扱えるデータ量が飛躍的に増えかつOAMやnetconf/YANGといった新しいプロトコルが開発されたことにより、仮想を含むネットワークトポロジーや接続機器のダイナミックな把握・管理、機器のポリシーに従った制御まで可能となってきている。医療機関のネットワークの状況はインターネット/イントラネットが普及したときの2000年代初頭の設計から大きくかわることなく、セキュリティ関連の追加が行われた以外はほぼ新しいインターネット技術が導入されていない。これは悪い意味でのレガシーであり、ガラパゴス化が進む要因となる。そこで健全な医療情報システムとしてのインターネット技術とネットワーク構築・運用について考える。