一般社団法人 日本医療情報学会

[3-E-4] 産官学で取り組む診療記録からの情報収集:JASPEHR Project

*星本 弘之1,2、美代 賢吾1,2,7、岡村 浩史3、太田 恵子3,4、岡田 靖士5、藤岡 裕一郎6 (1. 国立国際医療研究センター、2. 国立高度専門医療研究センター、3. 大阪公立大学医学部附属病院、4. 愛媛大学医学系研究科、5. 日本電気株式会社、6. 富士通Japan株式会社、7. 東京大学大学院医学系研究科)

Electronic Health Record, Real World Data, HL7 FHIR, REDCap, JASPEHR

政府が推進する医療DXにおいて、電子カルテ由来のリアルワールドデータ(RWD)を臨床研究や治験における活用が推進されている。また、令和7年度に事業組織が発足予定の全ゲノム等解析計画においては、ゲノム情報と対になる患者の臨床情報の取得が重要な課題であり、検査・処方などの構造化データに比べ、患者の主訴や医師による所見、あるいは副反応などが自由記載されている診療記録からの臨床情報収集はまだ人手に頼る部分が大きく、自動化・効率化が強く求められている。これらの課題について、我々は電子カルテベンダーに依存しない共通テンプレート(以下、JASPEHRテンプレート)により臨床情報を収集するJASPEHRプロジェクトを推進しており、現在までに難病ゲノム・がんゲノムでの臨床情報収集に適用されている他、感染症治験・臨床研究ネットワーク構築事業や電子カルテ情報共有サービスなどへの適用も検討されるなど、診療記録からの臨床情報収集の様々な領域に展開が進められている。 本セッションでは、まずJASPEHRプロジェクト全体に関して、開発進捗やベンダー・システムの対応状況など現状について総括を行う。その後、がんゲノム・難病ゲノム、感染症治験・臨床研究ネットワークなどの各事業での取り組み状況と課題などについて説明する。次に、電子カルテ以外からの情報収集にも対応可能なEDCシステムであるJASPEHRテンプレート対応REDCapについてその現状の紹介を行い、臨床研究におけるJASPEHRテンプレートの活用について検討結果を報告する。最後に、電子カルテ情報共有サービスなど政府が推進している医療DXにおけるJASPEHRテンプレートの活用などについて説明し、現状と将来展望および課題について共有し、議論を深めたい。