[3-E-4-01] JASPEHR Projectの現在地とその先
JASPEHRプロジェクトは、2018年に6つのナショナルセンター(6NC)の医療情報担当者と厚生労働省の担当官との意見交換から始まった。高度専門医療を展開する6NCの8病院において、今後重要となる電子カルテ情報の2次利用に向けて、診療情報を共通の形式で収集する仕組みの構築を目指すこととなった。6NCの共通事業である「電子カルテ情報を活用したリアルワールドデータ収集・提供基盤の構築事業(JASPEHRプロジェクト)」において研究開発を開始し、その後、国立高度専門医療研究センター医療研究連携推進本部(略称JH)の発足によりその事業が引き継がれた。JHではこの事業を6NCの電子カルテの構造化情報を主に収集する6NC統合電子カルテデータベース(6NC-EHRs)事業と、テキスト形式の診療記録等の非構造化データ収集事業にわけ、後者を、JH事業である「全ゲノム解析等実行計画」においてゲノム情報付随の診療情報の収集方式として研究を進めた。現在は、この事業によるFHIR Questionnaire Resourceベースのテンプレートによる記録の仕組みをJASPEHRプロジェクトと呼んでいる。プロジェクトでは、テンプレート定義と出力形式の仕様を作成し、5社の医療情報システムベンダーに実装し、がんゲノム領域、難病ゲノム領域、感染症領域での実証を実施している。2022年からは事業横断的なJASPEHR連絡会議を開催し、事業間で齟齬の無いように、共通のImplementation Guide(IG)を作成しているところである。現在の最新IGはv0.5.11であるが、2024年度末を目指してv1.0の策定と実装を、ベンダー各社と毎月のJASPEHR連絡会議および不定期の開発会議で進めている。これらの情報および開発したツールは、JASPEHRのホームページで公開されており、ぜひ活用していただきたい。
