Japan Association for Medical Informatics

[3-G-2-02] AI臓器セグメンテーションツールを用いた腎CTラジオミクス特徴と2型糖尿病患者の腎機能低下との関連

*Rei Motooka1, Kenji Hirata3, Satonori Tsuneta3, Akinobu Nakamura2, Reona Umeki3, Tatsumi Kusakabe3, Isao Yokota2, Akira Endo3, Naoki Osada1, Takashi Yokota3 (1. 北海道大学大学院 情報科学研究院, 2. 北海道大学大学院 医学研究院, 3. 北海道大学病院)

Computed tomography, Radiomics, Renal function, Type 2 diabetes

【目的】ラジオミクスは、CTなどの画像検査で得られる大量かつ複雑な視覚情報から定量的な特徴を抽出し、網羅的解析により精度の高い診断につなげる解析手法である。これまでに腎サイズ縮小と腎機能低下の関連が報告されているものの、2型糖尿病患者における腎臓の量的・質的変化が腎機能に及ぼす影響について十分に明らかにされていない。そこで本研究では、既存のCT画像を用いて、2型糖尿病患者における腎臓の形態学的変化や内部不均一性など約2,800種類のラジオミクス特徴と腎機能低下との関連を調査した。【方法】2008年4月から2023年5月の間に北海道大学病院で腹部を含むCT検査を受けた2型糖尿病患者のうち、推算糸球体濾過量 (eGFR) ≥15 ml/min/1.73 m2 の患者334名を対象とした。ラジオミクス解析については、CT画像よりAI臓器セグメンテーションツールを用いて両腎をトレースし、腎臓に関する各種特徴を抽出した。さらに電子カルテより各種診療情報を抽出した。腎機能低下 (eGFR <60 ml/min/1.73 m2) を主要アウトカムとし、腎CTラジオミクス特徴および診療情報 (年齢・性別・HbA1c値・体格指数など) を説明変数としてロジスティック回帰分析を行った。【結果】コホート全体の年齢の中央値は64歳、女性の割合は53%、eGFRの中央値 (四分位範囲) は59.9 (43.2–81.7) ml/min/1.73m2であった。またHbA1cの中央値 (四分位範囲) は6.6 (6.0–7.9) %であった。ロジスティック回帰分析では、腎CTラジオミクス特徴の一部の指標において腎機能低下との関連を認めた。【考察・結論】我々は腎CTラジオミクス特徴の一部が2型糖尿病患者の腎機能低下と関連することを初めて明らかにした。本研究の結果より、腎臓の形態学的変化や内部不均一性などが腎機能低下に影響を及ぼす可能性が示唆された。今後さらに解析を進め、腎CTラジオミクス特徴が2型糖尿病患者の将来の腎機能低下を予測できるか検証する予定である。【倫理的配慮】本研究は、倫理委員会の承認を得て、患者が特定されないよう配慮した。