[3-G-2-03] 検査値間恒常性バランスの変化に着目した膵がん早期診断に寄与する因子の探索
pancreatic cancer, correlation, data mining
目的:生体内では様々なメカニズムが互いに作用し恒常性を保とうとするため、検査数値は互いに密接に関係していると考えられる。そのバランスは病気の状態と健常状態とでは異なると考えられ、複数検査値間の関係を同時に考慮することが疾患早期発見の手がかりとなる可能性がある。複数の検査項目間の複雑な関係を評価するためには、ネットワーク分析の手法が有効であると考え、発見の難しいことで知られる膵がんを対象に、複数検査項目間の関係を見ることによる早期診断の可能性を検討する。
方法:高知大学医学部附属病院の仮名化データベースから、1981年-2021年のデータを使用し、膵がんの確定診断を受けた患者を膵がん群、このうち1-2年前の血液検査を持つ患者を膵がん診断前群、膵がんの確定診断情報がない患者を非膵がん群とした。各群で、各検査項目間の相関係数を網羅的に調べ、群間で差が大きい検査項目をネットワーク分析により抽出、特異的に見られる検査項目を検討した。
結果:膵がん診断前群のみ、CRPとHbA1cの正の相関がみられた。また膵がん診断前群のみ、CRPとコリンエステラーゼ(ChE)の相関がみられなかった。他2群はCRPとChEの負の相関がみられた。
考察・結論:先行研究では膵がんでHbA1cの上昇が見られる一方、単独では早期診断に至らないこと、CRPの上昇が膵がんのリスクに関係しているが、膵がん以外のがんでも関係があるとされている。本研究では、膵がん診断前群のみ同時に上昇が発生した。CRPとChEについては、膵がん進行時にCRPが上昇し、悪性腫瘍や低栄養のためChEが減少する一方、診断前の状態ではCRPが増加してもChEの減少には至っていないことが考えられる。これら検査の組み合わせが膵がんの早期発見に寄与する可能性を示唆している。
倫理的配慮:仮名化したデータを用い、高知大学の倫理員会に承認を申請した
方法:高知大学医学部附属病院の仮名化データベースから、1981年-2021年のデータを使用し、膵がんの確定診断を受けた患者を膵がん群、このうち1-2年前の血液検査を持つ患者を膵がん診断前群、膵がんの確定診断情報がない患者を非膵がん群とした。各群で、各検査項目間の相関係数を網羅的に調べ、群間で差が大きい検査項目をネットワーク分析により抽出、特異的に見られる検査項目を検討した。
結果:膵がん診断前群のみ、CRPとHbA1cの正の相関がみられた。また膵がん診断前群のみ、CRPとコリンエステラーゼ(ChE)の相関がみられなかった。他2群はCRPとChEの負の相関がみられた。
考察・結論:先行研究では膵がんでHbA1cの上昇が見られる一方、単独では早期診断に至らないこと、CRPの上昇が膵がんのリスクに関係しているが、膵がん以外のがんでも関係があるとされている。本研究では、膵がん診断前群のみ同時に上昇が発生した。CRPとChEについては、膵がん進行時にCRPが上昇し、悪性腫瘍や低栄養のためChEが減少する一方、診断前の状態ではCRPが増加してもChEの減少には至っていないことが考えられる。これら検査の組み合わせが膵がんの早期発見に寄与する可能性を示唆している。
倫理的配慮:仮名化したデータを用い、高知大学の倫理員会に承認を申請した
