一般社団法人 日本医療情報学会

[3-G-2-04] 機械学習による診療データ閲覧予測モデルの構築と精度評価

*新井 雅史1、佐藤 政寛2、桑鶴 良季1、杉村 雅文3、原田 陽介3、山室 真弓3、小野田 浩平2、桑鶴 良平1 (1. 順天堂大学医学部附属順天堂医院, 2. 富士フイルム株式会社, 3. 学校法人 順天堂 )

Improving Work Efficiency, Clinical Date, Access Time Reduction, Machine Learning, Context-awareness

【目的】医師は日々の業務において、大量の診療データを検索・参照しており、それらへのアクセス所要時間の短縮は業務効率化につながると考えられる。本研究では、医師が閲覧する診療データを予測する機械学習モデルを開発し、閲覧確率が高い診療データをリストアップして提示することで、データへのアクセス所要時間の短縮を目指す。【方法】診療文書や画像検査、内視鏡検査、病理検査などを管理する各システムの診療データを集約してアクセス方法を一元化する統合診療支援システムである「CITA Clinical Finder」を用い、医師の閲覧ログを収集した。医師が閲覧したい診療データは、様々な診療状況に応じて変化すると考えられ、状況に関連する様々な特徴量を用いて予測モデルを構築した。【結果】リストアップした診療データの中に閲覧したいデータが含まれれば予測成功(ヒット)とし、ヒット率を評価した。3件および5件リストアップした際のヒット率は、それぞれ87%と93%であった。また、予測モデルに用いた各特徴量の精度向上への寄与度を評価したところ、医師や患者の状況に関連する特徴量の寄与度が高かった。【考察・結論】得られたヒット率は約90%であり、診療データへのアクセス所要時間短縮と業務効率化が期待される。また、特徴量の寄与度評価の結果は、診療状況に応じた閲覧予測が重要であるという仮説を支持するものであった。【倫理的配慮】本研究は過去データを用いた観察研究であり、侵襲や介入を伴わない。また、オプトアウトにより本研究対象から除外するように申し出があった患者と20歳未満の患者のデータは除外した。本研究は順天堂大学医学部医学系研究等倫理委員会の承認を得ている(研究課題番号E22-0071)。