一般社団法人 日本医療情報学会

[3-G-4-01] 国内DPC病院の非階層クラスター分析による適切なベンチマーク対象病院の特定

*那須 照広1、藤井 将志1、谷田 理一郎1 (1. 特定医療法人谷田会 谷田病院)

Non-hierarchical cluster analysis, DPC : Diagnosis Procedure Combination, MDC : Major Diagnostic Category, Calinski Harabasz index, Krzanowski Lai index

【目的】DPC病院のベンチマークは同一医療圏内で疾患ごとの患者数と平均在院日数を比較するケースが散見される。しかし、医療圏内での機能分化が進む中、適切なベンチマーク対象は、自院と同様の医療を実践している他の医療圏の医療機関であると考える。そこで、日本の医療を支えるDPC病院の適切なベンチマーク対象を特定する手法を構築することを目的とする。
【方法】厚生労働省サイトのDPC評価分科会資料に、MDC疾患別および手術別の集計結果がある。これより全DPC病院のMDC疾患ごとの対処(全734条件)をパラメータとする非階層クラスター分析をRで実行する。結果の妥当性はCalinski-HarabaszインデックスとKrzanowski-Laiインデックスで評価する。最適としたクラスタリングにおいて対象疾患を専門とする医療機関が同一クラスターであることを確認する。対象疾患は専門特化型病院が多くクラスタリング結果を検証しやすい大腸癌、狭心症、脊柱管狭窄とする。
【結果】国内DPC病院のクラスタリングは分割数151が最適であるとインデックスから判断した。対象3疾患それぞれを多数診療している医療機関が同一クラスターに属する事を確認した。
【考察・結論】自院と同じ疾患群を診療する医療機関を特定し、より短い在院日数を実現している他院を参考とすることで、在院日数の短縮が可能である。その医療機関と協働することで、より多くの診療データに基づくEBM推進が期待できる。また、同一クラスターの他院が算定している診療報酬を自院の新たな診療報酬とすることも可能である。本手法により、専門特化型病院における適切なベンチマーク対象病院を特定できることを示した。一方で、大型総合病院では、多岐にわたる疾患群で適切にクラスタリングできているかを検証する必要がある。
【倫理的配慮】DPC評価分科会資料の本分析による二次活用に問題がないことを、利用規約および厚生労働省保険局医療課への問い合わせにより確認している。