[3-G-4-02] クリニカルパスは新型コロナウイルスによる医業収支悪化の対策になり得るか?
Clinical Pathway, hospital Management, COVID-19, Cost Accounting System
【背景】新型コロナウイルスによるパンデミックにより、医療機関の受診患者数が減少し、医業収支を悪化させている。我々はクリニカルパス(以下 パス)の経営改善効果を報告してきたが、収支関連指標の分析により、パスが医業収支悪化対策となり得るかを検証した。
【目的】パス利用による医業収支に対する影響を評価する。
【対象と方法】2017年度から2022年度間の長崎大学病院医科部門を退院した109,571名に対し、原価計算(人件費は入院日数配賦)による1例あたりの収支、黒字症例率、合併症発生率、同一病名2週間内再入院率(以下 再入院率)の平均を手術例、入院期間II内退院例、パス利用例と外来パス併用のパス利用例である術前検査例(以下 MSC術前検査)間で比較した。合併症の定義は間質性を除く肺炎、DIC、敗血症の入院中病名追加例とした。
【結果】全症例、手術例、入院期間II内退院例、パス利用例、MSC術前検査例の1例あたりの平均収支は、それぞれ-60,690円、46,373円、75,258円、73,387円、337,458円、黒字症例率は42.2%、58.1%、50.7%、57.1%、90.6%だった。合併症発生率は、それぞれ2.26%、2.34%、1.63%、0.70%、0.40%だった。再入院率は3.89%、4.50%、6.10%、3.51%、0.98%でありこのうち59.6%が7日以内の再入院だった。
【考察】パス利用例の平均収支や黒字症例率は、手術例や入院期間II内退院例と遜色なかったが、MSC術前検査例はいずれよりも高かった。なお、パス利用例の合併症率や再入院率は手術例、入院期間II内退院例よりも低く、MSC術前検査例が最も低かった。本院のパス利用率は46%であるが、診療科間の差があり、パス適応可能な疾患は残存している。したがって、パス利用率を高め、MSC術前検査対応診療科を広げ、赤字症例をDPC毎に原因を分析し、その結果を対策したパスを適用することで収支改善の可能性があることが示唆された。
【結論】パス利用推進は医業収支悪化の対策になり得る。
【倫理的配慮】本研究では個人情報を扱っていない。
【目的】パス利用による医業収支に対する影響を評価する。
【対象と方法】2017年度から2022年度間の長崎大学病院医科部門を退院した109,571名に対し、原価計算(人件費は入院日数配賦)による1例あたりの収支、黒字症例率、合併症発生率、同一病名2週間内再入院率(以下 再入院率)の平均を手術例、入院期間II内退院例、パス利用例と外来パス併用のパス利用例である術前検査例(以下 MSC術前検査)間で比較した。合併症の定義は間質性を除く肺炎、DIC、敗血症の入院中病名追加例とした。
【結果】全症例、手術例、入院期間II内退院例、パス利用例、MSC術前検査例の1例あたりの平均収支は、それぞれ-60,690円、46,373円、75,258円、73,387円、337,458円、黒字症例率は42.2%、58.1%、50.7%、57.1%、90.6%だった。合併症発生率は、それぞれ2.26%、2.34%、1.63%、0.70%、0.40%だった。再入院率は3.89%、4.50%、6.10%、3.51%、0.98%でありこのうち59.6%が7日以内の再入院だった。
【考察】パス利用例の平均収支や黒字症例率は、手術例や入院期間II内退院例と遜色なかったが、MSC術前検査例はいずれよりも高かった。なお、パス利用例の合併症率や再入院率は手術例、入院期間II内退院例よりも低く、MSC術前検査例が最も低かった。本院のパス利用率は46%であるが、診療科間の差があり、パス適応可能な疾患は残存している。したがって、パス利用率を高め、MSC術前検査対応診療科を広げ、赤字症例をDPC毎に原因を分析し、その結果を対策したパスを適用することで収支改善の可能性があることが示唆された。
【結論】パス利用推進は医業収支悪化の対策になり得る。
【倫理的配慮】本研究では個人情報を扱っていない。
