Japan Association for Medical Informatics

[3-G-5-03] モバイルセンサーを用いた高齢がん患者の評価における問題点

*Yoichiro Yoshida1, Teppei Yamada1, Hideki Shimaoka1, Ryuji Kajitani1, Taro Munechika1, Seiya Sato1, Kurumi Sahara1, Yoshiko Matsumoto1, Daibo Kojima1, Naoya Aisu1, Gumpei Yoshimatsu1, Suguru Hasegawa1, Yuhiko Yoshida2, Yukiko Yamane2, Kana Yamakawa2 (1. 福岡大学病院, 2. エムスリー株式会社メディカルコントリビューターグループ)

Mobile Sensor, Geriatric assessment, Preoperative evaluation

【目的】高齢者は老化による生理学的な変化をきたしており、臓器機能の低下・併存症などによって、治療のリスクが増加する。高齢がん患者の評価法は、簡便なものから複雑なものまで多様であるが、統一されたものはなく、明確な機能評価法および判断基準は確立されていない。近年、モバイルセンサーの発達により行動パターンをダイナミックに検知することが可能となった。今回、我々は高齢がん患者を対象としてモバイルセンサーを用いた術前の高齢者機能評価に関する臨床試験を行ったので報告する。
【方法】65歳以上で大腸がんと診断され、当院で治療予定の20例を対象とした。SONYのモバイルセンサー(Amuelink)に改良を行い、術前に装着して得られたデータと各臨床項目・検査項目・高齢者機能評価(G8)・チャールソン併存疾患指数(CCI)・Mini-Cog等との相関について検討した。
【結果】モバイルセンサーで得られたデータをアルゴリズムにより21の項目(歩数、移動距離、walking、running等)に分類し相関について検討したところ、G8は4項目、CCIは5項目、Mini-Cogは3項目と相関していた。その他として、身長、体重、年齢、肺機能検査(%VC,FEV1.0%)、血液検査(ALB, CRP, LDH, WBC, RBC, Hb,)、NYHA、PS等と相関する項目が存在した。一方、ゆっくりとした歩行やGPSの精度に由来すると思われる誤判定も認められた。
【考察・結論】モバイルセンサーで得られたデータは術前の高齢者機能評価として相関する項目も多く、身体機能のみならず認知機能や社会性、栄養状態も評価できる可能性を有している一方で、改善すべき点も有していると思われた。
【倫理的配慮】ヘルシンキ宣⾔に基づき、所属機関の倫理委員会の承認を得たうえで臨床試験を施行した。本研究は、患者の個⼈情報を匿名加⼯することによって、患者が特定されないよう配慮した。