Japan Association for Medical Informatics

[3-G-5-07] 三次元再構成による腹部エコー画像読影方法の理解促進の試み

*Kazuhiro Takeda1, Sho Mitarai1, Chang Liu1, Kazumasa Kishimoto1,2,3, Yukiko Mori1,2,3, Kana Eguchi3, Goshiro Yamamoto2, Tomohiro Kuroda1,2,3 (1. 京都大学 大学院医学研究科, 2. 京都大学医学部附属病院, 3. 京都大学 大学院情報学研究科)

Ultrasound Examination, Virtual Reality, 3D Reconstruction

【目的】エコー検査はプローブ操作に対する習熟が必要であり、検者の技量への依存性が高い。エコー検査の難しさの一因として、検査画像から対象の体内の状態をイメージすることが困難であることが挙げられる。本研究は、エコー画像の三次元再構成を行うことで、経験の少ない初学者でもエコー画像を理解できるよう支援することを目的とする。
【方法】リアルタイムでスキャンしたエコー映像を点群データに変換し、プローブの位置と同期させたうえで三次元的に再構成し、ヘッドマウントディスプレイを用いて提示した。有効性を評価するためにファントムを対象に動作確認を行った。
【結果】再構成された点群がプローブ走査に応じリアルタイムで表示されるため、初学者でも描出したい臓器の可視化が行えることが示唆された。一方で、現段階では再構成された点群データのみ表示しているため、ヘッドマウントディスプレイ内にもエコー映像を適切に表示するための改善が必要である。また、特定の臓器を注視する際、その周辺の点群が遮蔽物となって視認性を低下させることも課題として挙げられる。
【考察・結論】深部の情報の視認性が低い問題に対し、血管や臓器の点群のみ描画、または臓器別に点群に色付けをするなど、適切な可視化方法を模索する必要がある。また、再構成された情報が想定外のところに表示される問題はコントローラのトラッキングエラーに起因しているため、プローブ操作が行われる状態でも安定してトラッキングできる手法を確立させる必要がある。提案手法に技術的な課題は残るが、エコー画像から臓器立体形状を再構成し提示することでエコーと体内の関係性の理解を促進する有用性が示唆された。
【倫理的配慮】本研究は、侵襲や倫理的リスクがないため、特別な倫理的配慮は不要である。