[3-H-1-04] 全国医療情報プラットフォームとの共存・併用による効果~地域包括ケア、まめネットとの関わり~
Health Information Exchange (HIE), Patient Information, Community-based Integrated Care System
2020年に閣議決定された「データヘルス改革」や2022年に自民党が取りまとめた「医療DX令和ビジョン2030」等に基づき、医療機関間の診療情報共有を可能にするサービスの構築が進められている。2025年からオンライン資格確認システムを利用した電子カルテ情報共有サービスが供用されることにより、医療機関間の診療情報の共有が一層推進されることが期待される。一方、2000年ころから利用されてきた地域医療情報連携ネットワークは全国約300か所で稼働中であり、医療機関間のみならず介護事業者を含む地域包括ケア全体に拡がりをみせている。島根県に設置された「まめネット」の特徴として2013年の導入当初から、訪問看護施設、歯科診療所、薬局がカルテ閲覧の枠組みに入っていたことが挙げられる。当初は他の地連ネットと同様に病診連携での利用を中心であったが、現在では訪問看護施設の利用が診療所に匹敵するほどになった。また、介護事業所は連携カルテ機能を使用することができないものの、多職種で情報を共有する在宅ケア支援のアプリケーションを活用している。さらに、介護保険認定審査用の書類のやり取りをセキュアな環境で迅速に送受信できるので、市町村の参加拡大にもつながっている。地連ネットは医療機関間の連携のみならず、自治体も含めた在宅療養を支える多機関、多職種が関わる、地域包括ケアの基盤として地域に欠かせない存在としての可能性を有している。全国共有サービスと地連ネットは目的や用途が異なるが、医療機関にとって便利というレベルに留まらず、それぞれが長所を活かして種々のユーザーの業務の中に不可欠という位置づけに育て、共存することが望ましい。
