一般社団法人 日本医療情報学会

[3-H-1-05] 全国医療情報プラットフォームとの共存・併用を見すえて
~いしかわ診療情報共有ネットワークの能登半島地震における活用~

*横山 邦彦1、加藤 正美1、西川 裕規1、吉田 吏志1 (1. 公立松任石川中央病院)

Disaster medical care, Regional medical Information networks, Electronic prescription

令和6年1月1日午後4時10分に発生した能登半島地震では,能登から避難した被災者の医療情報を金沢以南の避難先での医療機関がいしかわ診療情報提供ネットワーク(いしかわネット,SEC社ID-Link®)を用いて比較的スムースに共有することができた.石川県内の基幹31病院すべてがいしかわネット一本で結ばれているため,2020年のコロナ禍にいしかわネットのEMS(緊急時閲覧)機能の利用が県内でブレークした経験が背景にあった.EMS機能に加えて,患者IDがわからなくても検索できるPDQ機能(患者ID検索機能)との組み合わせが大いに役立った.災害時に医療者がアクセスした情報は,処方,採血検査結果,画像診断よりも圧倒的にブログレスノート(経過録)であった.これは平時の閲覧でも同様である. オンライン資格確認システムの「緊急時医療情報・資格確認機能」(災害時医療情報閲覧)が時限的に立ち上がり,薬剤の処方情報が共有された.オンライン資格確認システムではレセプト情報の閲覧は可能だが,通常1-3ヶ月の遅延が生じる.一方,石川県では,電子処方箋の導入が全国一早かったため,能登地区でも電子処方箋管理サービスを経由して遅滞のない処方情報が閲覧された事例もあった. 災害時におけるPDQ+EMS機能の臨時運用ルール作り,PDQ+EMS運用の実例,また,いしかわネットとオンライン資格確認システムとの棲み分けに関して紹介する.