一般社団法人 日本医療情報学会

[3-H-2-03] 部門検査レポートを含めた医療情報のFHIRによる統合管理システムの開発

*河添 悦昌1,2、大江 和彦3,2 (1. 東京大学大学院医学系研究科 医療AIデジタルツイン開発学講座, 2. 東京大学医学部附属病院 企画情報運営部, 3. 東京大学大学院医学系研究科 医療情報学講座)

Electronic Health Record, FHIR, SEAMAT, HL7CDA

【目的】 SS-MIX2標準化ストレージ(以下、SS-MIX2)にはHL7V2.5で記述可能な情報種別は含まれるが、病理、内視鏡、放射線などの検査結果レポート情報を含まない。これらには、各部門診療専門家による決定的で確度の高い診断、所見が半構造化された自然言語で記述されており、これらの情報を可能な限り標準形式で前者の構造化標準化情報と統合管理することは、質と確度の高い情報を含めた二次利用の活用範囲を広げる。本研究では、将来の標準化システムとして医療機関が導入可能な、部門検査レポートを含めた医療情報の新たな統合管理システムの構築を目的とする。【方法】1)内閣府戦略的イノベーション創造プログラム下のプロジェクトに参加する17病院の超音波、心電図、心カテーテル、病理、内視鏡、放射線、がん登録の各検査レポート(以下、部門レポート)について部門システムを改修し、SEAMAT、HL7CDA、独自XML形式、CSV形式のいずれかで出力する。2)各部門レポート、テンプレート入力データを含む電子カルテデータ、SS-MIX2などから各種データを取り込み、FHIR形式でないデータをリアルタイムでFHIR形式に変換し、FHIRサーバに蓄積するFHIR統合変換管理システムを開発する。【結果】対象は17病院7部門36システムとなり、23年度に開発した異なるシステムは10、導入可能部門は延べ33(10病院)であった。FHIR統合変換管理システムは、前記の各種形式の入力を受け取り、リアルタイムでFHIRに変換してFHIRサーバに蓄積するシステムとして開発し、運用テスト中である。【考察・結論】多岐にわたる部門系システムの出力形式の集約化は必要であるが、本システムによりFHIR形式に変換し統合的に管理できるようになると考えられる。今後、二次利用側機能を増強する計画である。【倫理的配慮】該当しない。