Japan Association for Medical Informatics

[3-I-1-02] CPR訓練システムを用いた胸骨圧迫の姿勢・動作の解明

*Akinori Minaduki1, Taiki Yamakami1 (1. 釧路公立大学)

CPR, Simulator, Training

【目的】心肺蘇生法(以下CPR) の正しい姿勢・動作については未解明な課題が多く,CPR訓練の指導方法においては画一的ではない。本研究では課題に対応するためにCPR 訓練システムを開発して胸骨圧迫の姿勢・動作の解明のために実験分析した.【方法】開発したCPR 訓練システムはAzure Kinect DKセンサーカメラ機材を用いて,正面・側面の2方向からCPR訓練中における胸骨圧迫の身体の関節角度を取得した.また,胸骨圧迫時の圧迫と除圧が成立しているか,CPR訓練人形から発せられるクリッカー音(金属音)を音声認識処理した実装して計数処理して分析した.実験①はCPR の利き手の上下の変更の影響を分析した.実験②はCPR姿勢の7 か所の関節角度を取得して,圧迫時の適切な関節角度の閾値を導出した.【結果】実験①の結果は,利き手の上下の変更の影響についてCPR 訓練システムの姿勢総合点数と訓練前後の脈拍の増減値について,中央値の差をウィルコクソンの符号付順位和検定をして有意差が得られた.実験②の結果は,正面センサーカメラから左肘(145.3°~159.8°),右肘(146.1°~161.4°),左肩(105.6°~113.7°),右肩(102.5°~110.4°),側面センサーカメラから胸部(168.7°~174.0°),臍部(167.8°~173.7°),臀部(99.0°~107.7°)の関節角度の閾値が得られた.【考察・結論】実験①の利き手の上下の変更が及ぼす影響は,「利き手を上」に置くことが重要であることが明らかになったが,性差や筋肉量・体重の個別性によって影響があるため,継続した実験分析が必要である.実験②の角度閾値を得たことによりCPR 訓練システムをさらにアップグレードして,救命現場のプロフェッショナル職である救急救命士,看護師などの医療従事者を対象として実験を実施することにした.【倫理的配慮】人を対象とする研究に関する倫理指針にもとづき,CPR 訓練システムを用いた実験の際は遵守した.