Japan Association for Medical Informatics

[3-I-1-04] IoT技術を活用したフットケアマッサージ技術の可視化による動作スキル共有・継承システムの開発

*Ryohei Arai1, Hiroshi Takase1, Kaoru Eto1, Toshiyasu Kato1, Kiyomi Ito2, Tomoko Iwata2 (1. 日本工業大学, 2. 東本町訪問看護ステーション)

IoT technology, Visualization of movement skills, Foot care massage, Learning support system

【目的】
 超高齢社会の日本では,足に関する問題を抱えた高齢者が多い.そのため,足病変の対策としてフットケアマッサージが効果的な医療手段として関心が高まっているが,フットケアマッサージの人材育成の方法が確立されていない.本研究では熟達者によるフットケアマッサージの動作スキルの習得支援を目的に,IoT(Internet of Things)技術を用いて熟達者の動作スキルを可視化させるシステムを開発した.
【方法】
 最初に施術中の姿勢,手の動作を多方面からウェアラブルカメラで撮影し,熟達者の説明の聴覚情報,熟達者の焦点をアイトラッカーにより可視化させる視覚情報,施術中の手のひらや指に加わる圧力情報の5つを取得する.圧力情報の取得には圧力センサとボードコンピュータを使用し,圧力情報をリアルタイムで可視化すると同時に学習者へ配信される.これによりインターネットを通じて現場で行っているリアルタイムのフットケアマッサージの動作スキルが可視化され臨場感をもって学習することができ,より効果的な学習が行える.
【結果】
 本システムをフットケアの指導資格を持った訪問看護師が疑似患者で2回試用した.1回目の評価では圧力情報を数値化,グラフ化し可視化させたことで客観視できたとの評価を得ることができた.2回目の評価では指や手掌のセンサを増やしたため手袋の装着感や施術に支障がないのかを確認し,5つの情報を統合し同時に提示した.結果として,システムの全体的な完成度には看護師が要望した機能が実現されているとの評価を得ることができた.
【考察・結論】
 熟達者の動作スキルを姿勢,動画情報,聴覚情報,視覚情報,圧力情報の5つに分け,それぞれの手法で可視化し,ネットワークに伝送し,統合し,同時に提示するシステムを開発した.本システムを使用することで熟達者の動作スキルを習得,共有や継承といった人材育成を支援することが可能となる.
【倫理的配慮】
 今回の研究では模擬患者を使用したため倫理審査の必要性はない.