【目的】近年患者数が増加している「加齢男性性腺機能低下症候群（Late-Onset Hypogonadism：LOH 症候群）」は男性の更年期障害であり，男性ホルモン（テストステロン）の減少が主な原因である．女性と比べ男性の場合のホルモン減少は，加齢よりも環境の変化によるものが多く，さらにテストステロンの減少は体重やLDL（悪玉）コレステロールの上昇と相関があることから，生活習慣病リスクを高めるともいえる．
　一方，腸には健康に欠かせない腸内細菌が多数生息しており，腸内環境を整える腸活により，肥満の予防，免疫力向上，質の良い睡眠，老化予防などが期待でき，生活習慣予防にも密接に関係する．われわれは，すでに「腸蠕動音」を聴取できるアプリケーション（アプリ）を使って，腸活の一つである「起床時の水分摂取」との関連を分析している．
そこで本研究では，男性の更年期障害の予防と腸活に焦点を当て，セルフチェック可能なアプリの開発を目的とし，先行研究等からその機能について検討する．

【方法】①PubMed，CiNiiのデータベースを用い，「男性」「更年期障害」「腸」をキーワードに，2000年から2023年までの関連文献を検索しレビューを行う．②男性更年期障害予防アプリの機能について検討する．

【結果】文献検索の結果，計4件の論文がヒットした．これらにおいて，腸内環境の改善を目的とした腸活が便秘や消化不良といった男性の更年期症状の緩和に有効である可能性を示唆していた．また，現存する更年期障害アプリの多くは女性を対象にして開発されたものが多く，男性更年期障害予防に特化したアプリはほとんどなく有用であると考える．

【考察・結論】男性更年期障害予防アプリの機能は，腸活支援を中心にし，腸音聴取と状態分析，腸活セルフチェック，フィードバックが必要であり，行動変容を促すためには，チャットボットによる測定リマインダやAIによる個別帯同などが必要であると考える．

【倫理的配慮】特になし