[3-I-2-06] 術前OCT画像を用いた黄斑円孔患者の術後視力分類に関する基礎的検討
Ophthalmology, Medical Diagnostic Support, Machine Learning
【目的】眼科臨床現場において黄斑円孔のような手術を要する症例である場合,患者の視力予後への不安は大きい.本研究では,術前に得られた網膜OCT画像を用いた術後視力の予測法について検討する.本稿では,黄斑円孔患者の術前OCT画像を使用した術後視力分類モデルを構築し,複数のモデルによる分類精度を比較する. 【方法】複雑な構造を持つ網膜OCT画像から適切に特徴量を抽出するため,複数の網膜疾患患者のOCT画像を用いてファインチューニングしたVGG19モデルを特徴量抽出器として使用し,術前OCT画像から特徴量を抽出した.得られた特徴量に対して.カーネルPCAによる特徴量選択および分類モデルのハイパーパラメータチューニングを行なった.分類モデルには,ロジスティック回帰とSVC,LigthGBM等を用いて術後視力予測を行なった.各種モデルの汎化性能を比較するため,層化5分割交差検証を用いた. 【結果】得られたモデルをAccuracy,F1 score,AUC-ROCを用いて予測精度を比較した.結果より,LightGBMが比較的高精度であり,Accuracyは 0.776 ± 0.042,F1 score とAUC-ROC はそれぞれ 0.561 ± 0.102,0.773 ± 0.061であった. 【考察・結論】実験結果から,最良のモデルでは術後視力を約77%で分類可能であり,LightGBMを用いることにより術前OCT画像を用いた術後視力推定の可能性が示唆された.今後は,これらの予後推定モデルを実際の臨床現場で活用するために,より高精度なモデル作成を目指し他手法の検討を行なっていく. 【倫理的配慮】本研究は,三重大学医学部附属病院倫理委員会の承認(承認番号:H2019‐219)を得て実施し,患者が特定されないよう配慮した.
