一般社団法人 日本医療情報学会

[3-I-5-01] インフルエンザの流行検出のための地域別日次抗ウイルス薬処方数の使用: Real world Dataの実用的使用に関する洞察

*藤林 和俊1,2、福島 真一3、中山 健4、室田 大輝2、柳澤 尚武2、西山 悠5、内藤 俊夫3 (1. 順天堂大学 医学部 バイオリソースリサーチセンター, 2. 順天堂大学 医学部附属順天堂医院 臨床研究治験センター, 3. 順天堂大学 医学部総合診療科学講座, 4. 順天堂大学 国際教養学部, 5. 電気通信大学 大学院情報理工学研究科)

real-world data, deep learning, seasonal influenza, epidemic monitoring

【目的】抗インフルエンザ薬処方数情報と深層学習を使用して、季節性インフルエンザ流行監視の可能性を検証する。【方法】東京都内の保健所(最大31か所)がインフルエンザ流行「警報」または「注意報」状態になる数を、抗インフルエンザ薬の処方数と気象データ(気温と相対湿度)を組み合わせて予測した。地理的および時間的依存性を評価するために、6つのモデルを使用した。各モデルは、{東京、関東、日本}という地理的単位と{7日間、14日間}という期間の組み合わせで定義された。関東には東京および近隣の県が含まれ、日本には全ての県が含まれた。指定期間中の処方数と地元の天気を使用して、翌日の警報・注意報を予測した。予測は2014年5月から2018年4月までの期間に対して、深層ニューラルネットワークを用いて行った。処方数は、国民健康保険データベース(NDB)から取得され、処方の集計の地理的単位は二次医療圏とした。【結果】6つのモデルすべてにおいて、予測された警報・注意報の数と実際の数との間の相関係数は非常に高かった。最も高い相関係数は、モデル(日本、7日間)で0.989だった。【考察・結論】日本において、抗インフルエンザ薬の処方数と気象データを組み合わせることで、インフルエンザの流行を監視・検出する可能性があることが示された。より広い地域やより長い前期間のデータを使用することで、予測精度が向上する可能性がある。【倫理的配慮】本研究はレトロスペクティブ(後ろ向き)研究で、個人に関連するデータは使用していない。本研究のプロトコルは順天堂大学の倫理審査委員会によって承認された(承認番号:M19-0222-M02)。