一般社団法人 日本医療情報学会

[3-I-5-02] Z-Adamを用いたKDBを利活用し、施策に活かす有効な手法の開発

*明神 大也1、西岡 祐一1、野田 龍也1、今村 知明1 (1. 奈良県立医科大学医学部)

Z-Adam, KDB, BI tool

【目的】我々はこれまで奈良県の医療計画策定のため、奈良県における国保データ(KDB)の解析を行っていた。KDBの解析にあたって、研究者はSQL serverを用いていたが、行政関係者・事務職員等といったSQLの技術を有しない者も集計できるよう、Cacheを用いたGUIのパッケージソフトを利用していた。しかしながら、同システムは汎用化されなかったため、新たな開発や保守運用が中止された。さらに、分析するたびに削除に難渋する中間ファイルが蓄積され、運用上の問題になっており、同システムに変わるアプリケーションが求められていた。本研究では、ゼッタテクノロジー社が提供するパッケージソフトである新世代統計集計システム Z-Adamを使用し、集計手順を確立した上で、マニュアルを作成することを目的とした。なおZ-Adamは、ビジュアル化より集計レポート作成に重きを置いたGUIで操作可能なビッグデータ解析ソフトである。
【方法】既報の方法で、1患者1データ化処理を行った奈良県KDBを用いて、診療行為別の点数を医療機関単位で集計するための手順を確立し、マニュアルを作成した。
【結果・考察】主な手順としては、①コマンドを用いてSQL serverからCSVファイルを出力する、②当該ファイルをZ-Adamにインポートする、③Z-Adam内でデータマート作成・結合処理を行い集計テーブル作成した上で帳票出力する。①についてはSQLの操作が必要であるが、事前に必要なファイルを出力しておくことで、原則全てGUIベースで操作することができる。
【結論】本研究では、Z-Adamを用いたKDBの集計手順を確立し、マニュアルを作成した。今年度に県庁に導入し実運用しつつ、更なる課題やニーズを吸い上げる予定である。今後Z-Adamを用いて粗集計だけでなく、一定条件下で患者追跡コホートが可能な手順を検討していく。
【倫理的配慮】本研究は奈良県立医科大学の倫理審査を受けて実施され、KDBデータを用いた分析結果は奈良県庁の公表物確認を受けている。