Japan Association for Medical Informatics

[3-I-5-05] ePathを基盤とした電子カルテシステムと連動した電子ワークシート(eWS)の検討

*Eri Matsuki1, Hideki Nakaguma2, Takanori Yamashita3, Kenji Morita3, Naomi Takayanagi3, Masahiko Kimura4, Masako Seki4, Masahiro Komai5, Hiroyuki Takase5, Naoyuki Doke6, Toshiko Wada7, Kota Funakoshi3, Hidehisa Soejima3, Koichi Nakao2, Naoki Nakashima3, Koji Todaka3 (1. 慶應義塾大学医学部, 2. 済生会熊本病院, 3. 九州大学病院, 4. 日本アイ・ビー・エム株式会社, 5. 日本電気株式会社, 6. 富士通Japan株式会社, 7. 富士通株式会社)

ePath, Worksheet, Clinical Trials

【背景】
治験ではデータ収集のためにワークシート(WS)が用いられることが多い。従来WSは紙で運用されており、カルテからWSを経てEDCへの転記作業が発生し、情報収集のための時間や転記ミスなどの様々な負担を伴う作業となっている。近年デジタル化の流れを受けて、WSの電子化や電子カルテ(HIS)との連携の試み等が行われているが、HISネットワークと外部ネットワークに存在するEDCをつなぐ仕組みは十分に確立されておらず、日常診療との連続性の担保や効率的なデータ収集、新規システム導入にかかるコスト等に課題が残る。
【目的・方法】
AMEDの平成30年度「標準的医療情報収集システム開発・利活用研究事業」で開発された標準化電子クリニカルパス(ePath)を基盤として、HIS内で使用でき、臨床研究中核病院が相互に使用可能な電子WS (eWS)を開発した。
【結果】
臨床研究中核病院で使用されている日本IBM, NEC, 富士通のHIS 3ベンダーのシステムそれぞれにおいてHIS内にeWSを作成し、検査結果や処方などの診療の記載の引用と治験特有のデータの記載を、治験の各ビジットと紐づける形で構造化することができた。また、ALCOAの原則に合致するよう、承認権限の設定など、治験で求められる記録ができるシステムとしてのブラッシュアップを行なった。結果、eWSのデータをePath標準規格のXMLとして出力し、CSVに変換の上、EDCにインポートできるシステムを検証することができた。
【考察】
ePathを基盤として用いることで、HISに記録した情報を効率的にeWSに収集し、その内容をベンダーの違いを越えて、EDCにインポートできることを示した。治験での実運用および製品としての実用化に向けて、ベンダー各社の協力を得て引き続き改修を進め、同時に病院側の体制整備並びに規制当局や製薬企業との話し合いを並行して進めている。