Japan Association for Medical Informatics

[3-I-5-06] 医師主導治験へのDCT導入におけるプラットフォームの構築と今後の展望

*Sachie KAWABATA1, Chiharu MIZOGUCHI1, Naoko SO1, Satoshi KAWASHIMA1, Kanako KONDO1, Tetsuya SASAKI1, Mamiko KAWASAKI1, Kaori IZUMINO1, Hisahiro ITO1, Natsuko OKITA1, Yukie OKADA1, Katsuya TANAKA2,1, Kenichi NAKAMURA1 (1. 国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院, 2. 国立研究開発法人国立がん研究センター)

Decentralized Clinical Trial, Digital Transformation, Doctor to Patient with Doctor, DCT

【背景】Decentralized Clinical Trial(以下、DCT)の導入は、患者の居住地域に依らず、治験への参加が可能となることから、希少がん患者を対象とした治験等において、アクセスの向上が期待されている。しかしながら、現状ではDCTを実装した治験の実施はまだ少なく、今後さらなるDCTの導入や施設の拡充が必要と考えられている。そこで、国立がん研究センター中央病院(以下、当院)では、医師主導治験へのDCT導入を目的としたプラットフォームの構築を行った。【方法】構築にあたり、医療情報部および臨床研究支援部門からなるDCTタスクフォースチームを立ち上げ、システム化する部分と運用でカバーする部分を整理し、DCTプラットフォームを構築した。各システムの導入・構築とともに原データおよび原資料を特定し、手順書やマニュアルを作成した。【結果および考察】DCTプラットフォームは、①eConsentおよびオンライン診療を行うシステム、②施設間で検査データ等を共有するシステム、③治験薬配送の仕組み、④カルテ作成における患者情報登録、診療費用の支払および予約を行うシステムの4つ仕組みを組みあわせ構築した。②においては、検査データをFAXと郵送で当院に送付する運用から開始したが、クラウドを介したデータ授受のプロセスを構築することによりタイムリーにデータを共有することが可能となった。さらに受領したデータを電子カルテから閲覧可能とすることで、より効率よく治験を実施できる環境とした。現状、日本国内において上記①~④の様なDCTの各要素を統合したアカデミア発のプラットフォームは存在しない。今後さらに改良を続け、DCT普及のために重要となる統合プラットフォームの構築を目指す。また、海外との国境をまたいだオンライン治験を実現するために海外向けプラットフォームの構築も進めていきたい。