Japan Association for Medical Informatics

[3-I-5-07] 大規模言語モデルを活用した産後の母親の個別状況に応じた対話システムの構築

*Kohei Yamashita1, Makiko Ohwaki2, Yumiko Nakamura3, Yusuke Kadono1, Tadamasa Takemura1, Koji Shimizu4, Kotaro Minato5 (1. 兵庫県立大学大学院 情報科学研究科, 2. 大阪総合保育大学 児童保育学部, 3. 天使大学大学院 看護栄養学研究科, 4. 京都大学医学部附属病院, 5. 奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科)

Personalized Dialogue System, Postpartum Care, Large Language Model

【目的】産後の母親はホルモンバランスや環境の変化などにより多様な問題を抱えている。これらの問題は産後うつ病などに繋がる可能性があり、助産師などの専門家によるカウンセリングが行われているが、すべての母親が十分なサポートを受けられているわけではない。一方で、近年、自然言語処理技術の発展により大規模言語モデル(LLM)は自然な対話が可能となり、時間や場所に関係なく利用できるため、我々はLLMを用いた産後の母親のための対話システムを検討してきた。しかし、個々の産後の母親の情報と会話履歴を用いなければ、多様な悩みを抱える産後の母親の状況に応じた応答は難しいことが判明した。そこで、本研究では、産後の母親の情報を会話の中から収集し、個別の状況に応じた応答をする対話システムの構築を試みた。
【方法】本研究では、対話から必要な情報を抽出し、母親ごとにデータベースに情報を蓄積する機能、および母親から発話が行われるたびに内容を解析して情報を更新し、最新の情報に基づいて応答する機能を持つ対話システムを構築した。本システムの適用可能性を検証するために、助産師が産後の母親を演じる形で対話を行い、情報の抽出・蓄積・更新、応答生成の各プロセスを評価した。
【結果】構築した対話システムは、産後の母親の発話から必要な情報を抽出できることが確認された。また、対話を重ねることで、情報が更新・蓄積され、その情報を考慮した応答が生成された。
【考察・結論】本研究で構築した対話システムは、産後の母親の個別状況を考慮して対応できる可能性が示唆された。本研究の限界として、今回は実際の産後の母親ではなく、助産師が産後の母親を演じる形で対話を行い検証したため、実際の母親を対象とした場合については、さらなる検証が必要であると考えられる。
【倫理的配慮】本研究において、倫理的に配慮すべき事項はない。