[3-J-1-02] SPDを担う外部事業者の診療材料納品データの電子カルテ・医事システムへの取り込み精度の検証 -月次変動損益計算書の作成を目指して―
Variable Costing Income Statement, medical fee, variable costs, Medical materials
【目的】高度な医療をおこなえば、診療報酬の収益に占める薬剤、償還診療材料の割合とこれらへの支出が増え、医業収益の多寡と収支との乖離が大きくなる。管理会計で用いられている変動損益計算書(医業収益から変動費である薬剤、償還診療材料費を減じて算出)はこの欠点を是正する経営指標になりえるが、普及が進まない。原因は納品された診療材料と医事・財務の紐づけ精度が、日常業務で収集したデータでは確保できないことに起因する。演者が考案したシステムで得られたデータを用いて両者の紐づけ精度を検証すること。【方法】SPDを担う外部事業者の納品データと、診療材料に貼付されたバーコードを読み込むことで、電子カルテへの登録や医事請求など各種の院内業務を効率化させた「医療施設収支計算支援システム」(演者の出町が発明)を用いた。SPD業者が2022と20233年度に当院に納品した診療材料(金額ベースで税込み約89億円、うちバーコード貼付対象部門(手術・麻酔、血管造影、内視鏡部門)に納品された診療材料65.9億円、物品数411万個)に対して、バーコードの読み取り精度を以下の方法で、月次で突合精度を検証した。物品を償還対象と非償還並びに加算対象材料に分類し、前者は医事コード、電子カルテ物品コード、JAN/GSコードがSPDの納品データとバーコードの読み取りデータとの間で一致するもの、後者は電子カルテ物品コードとJAN/GSコードが両者で一致するものを正確な物品管理(突合)ができているものとした。診療材料へのバーコードの貼付を償還材料と2,000円以上の一般材料に限定した。【結果】償還対象物品の月次の一致率は、物品数で89.09%から104.93%、金額で90.70%から111.80%の間に分布した。24か月のプールデータでは、物品数で98.7%、金額で99.7%が一致した。非償還並びに加算対象物品では24か月のプールデータでの金額ベースで81.1%が一致した。【考察】今回提示した手法を使えば、高い精度の変動損益計算を簡便に月次で作成できる。
