一般社団法人 日本医療情報学会

[3-J-1-03] 中型医療機器管理IoTデバイス:ロケモニ!を用いた多施設運用検証

*大山 慎太郎1,2、宮城 英毅2、出野 義則1、島 孔介3、大塚 孝信3 (1. 名古屋大学, 2. 琉球大学, 3. 名古屋工業大学)

Internet of medical things, Medical Device Monitoring, Device Tracking

【背景】人工呼吸器・循環動態監視装置、超音波検査装置といった可搬中型医療機器の探索や適正利用調査は、医療現場の人的負担が課題であった。我々は総務省の支援の下、医療機器に接続し消費電流情報をリアルタイムでモニタリングし、その稼働率を推測し、また周囲の環境電波より院内の位置情報を推測することを可能とするIoT電源タップ型デバイス(以下本デバイス)を開発。5病院、200台を超える医療機器に接続しデータを取得してきた。【方法】検証協力病院の臨床工学技士の協力の下、以下2点において本デバイス導入の有効性を調査した。①本デバイスの有無による医療機器の探索時間の変化 ②稼働率が低い医療機器を削減することによる影響と効果【結果】協力が得られた2施設4名の臨床工学技士の機器探索実験において、従来の台帳による管理方式と比較して、所在不明の機器に対する探索時間が50~65%に短縮した。また、ICUにおける常時設置の循環動態監視装置が従前9台であったところ、モニタリングに基づくと5台が5%未満の稼働率であったために4台に削減したところ、1カ月間特に問題が発生しなかったため、削減を確定し、別の部署に回すことが可能となった。【考察・結論】本デバイスを中型医療機器に接続し、医療機器管理に利用することにより、医療機器探索時間の短縮や、医療機器の利用率向上と使用頻度の低い機器の把握が容易になった。それにより医療機器配置の無駄の削減から最適化につながり、また効率的な保守計画の策定が可能となり、全体的な運用コストの削減にも繋がる可能性が高いと考える。本デバイスは900MHz帯LPWAを用いることで、電波干渉と基地局数を最小限にし、病院情報システムへの接続は不要のため、病院環境に柔軟に対応できる設計であり、将来的には、医療機器の共有を病院内だけでなく地域間で進め、医療資源の最適化を図るエコシステムの構築に貢献することを目指すものである。