[3-J-1-05] 音声認識と生成AIを組み合わせた「看護師申し送り支援システム」の開発
Nursing Information System, Voice Recognition, Generative AI
【目的】ヘルスケアDXを進める中で、もっとも人数が多い医療従事者である看護師の業務負荷軽減は喫緊の課題である。看護記録へのAI活用の試みが散見されるようにはなったが、今なお、記録だけでの申し送りには限界がある。そこで口頭による申し送りに多くの時間を要している現状を変えるため、音声認識と生成AIを組み合わせた「看護師申し送り支援システム」の開発を行ったのでその経過を報告する。
【方法】匿名加工情報として作成された看護記録データ(約10万件)を教師データとして、断片的な看護記録を積み重ねたデータを用いて、CHAT GPT4oをエンジンとしたDaily Summaryを出力するシステムを構築した。
【結果】バイタルサインや「悪寒がない」ことを文字もしくは音声で入力すると、例えば「悪寒がないことは記載されていますが、その他の症状(例えば頭痛、筋肉痛、吐き気など)があるかどうかが不明」との返答が得られ、その返答に音声で返事をすることにより、申し送り情報を構成するDaily Summaryを構築できた。看護師が「概ね問題ない」と評価できる情報の出力に到達できる割合(到達率)は、約8割に留まった。
【考察・結論】生成AIを活用する際に出力された情報の精度が課題になりがちだが、精度を高めるための検証作業に資源投入するのは必ずしも効率的とはいえない。このため筆者らは「足りないと思われる情報」をリクエストする仕組みの構築に特化した。しかし「足りないと思われる情報」には、申し送り中に医学的専門用語に加えて看護職特有の慣用的業務用語が含まれており、記録との間に言語的な差異を生じていることが到達率に影響していると考えられた。こうした慣用的業務用語もある程度Daily Summaryの出力範囲に含める必要性が示唆された。
【倫理的配慮】本研究は匿名加工情報を用いた実験研究であり、データの作成及び利用にあたっては、各所属機関所定の承認手続きを得て実施した。
【方法】匿名加工情報として作成された看護記録データ(約10万件)を教師データとして、断片的な看護記録を積み重ねたデータを用いて、CHAT GPT4oをエンジンとしたDaily Summaryを出力するシステムを構築した。
【結果】バイタルサインや「悪寒がない」ことを文字もしくは音声で入力すると、例えば「悪寒がないことは記載されていますが、その他の症状(例えば頭痛、筋肉痛、吐き気など)があるかどうかが不明」との返答が得られ、その返答に音声で返事をすることにより、申し送り情報を構成するDaily Summaryを構築できた。看護師が「概ね問題ない」と評価できる情報の出力に到達できる割合(到達率)は、約8割に留まった。
【考察・結論】生成AIを活用する際に出力された情報の精度が課題になりがちだが、精度を高めるための検証作業に資源投入するのは必ずしも効率的とはいえない。このため筆者らは「足りないと思われる情報」をリクエストする仕組みの構築に特化した。しかし「足りないと思われる情報」には、申し送り中に医学的専門用語に加えて看護職特有の慣用的業務用語が含まれており、記録との間に言語的な差異を生じていることが到達率に影響していると考えられた。こうした慣用的業務用語もある程度Daily Summaryの出力範囲に含める必要性が示唆された。
【倫理的配慮】本研究は匿名加工情報を用いた実験研究であり、データの作成及び利用にあたっては、各所属機関所定の承認手続きを得て実施した。
