Japan Association for Medical Informatics

[3-J-2-01] ネットワーク障害への対応から考える病院情報システム部門に必要とされるネットワークスキルについて

*Riichiro Suenaga1, Ryou Nakayama1, Atsushi Kobayashi1 (1. 綜合病院山口赤十字病院)

Information System Division, Network, 3C of healthcare information technologist

【背景】IT-BCPを考えるうえでサイバー攻撃以外にも、大規模な障害につながるものに、ネットワーク障害が考えられる。物理的な光ファイバケーブルの破断は、復旧に相応の時間が必要となると思われる。また、一般病院において、ネットワークスペシャリストの常駐は稀であり、情報部門の設置でさえも十分であるとは言えない状況がある。
【目的】光ファイバケーブル破断障害への対応より、病院の情報システム担当者に必要なスキルについて検討する。
【方法】新病棟建設工事後の外構工事中に経験した、建物間の幹線光ファイバケーブル破断事故による大規模ネットワーク障害時の対応について検討を行うことで、ネットワーク障害からの迅速な復旧に寄与した情報システム担当者のスキルについて明らかにした。
【結果】早期復旧につながったポイントは
1.院内ネットワークの論理的・物理的な構造の見える化と把握。
2.建設施工会社の担当者との迅速な折衝であった。
【考察・結論】障害の確知と原因究明において、ネットワークの論理的・物理的な状況を把握し、障害と思われるポイントを絞り込むことで、迅速な対応へつながると考えられ、平時の状況把握やネットワーク機器の設定情報を知ることが重要であった。仮設復旧作業に向けては、建設施工会社の責任者や電気工事士等の、平時には関わりが無いスタッフと速やかに関係を構築し、相互に情報共有するとともに、仮設ケーブル敷設の指示を出すなど、医療情報技師の3C(Communication, Collaboration, Coordination)」がまさに必要とされていたと考えられる。情報システム部門において、ネットワークをすべて管理することは不可能であるが、すくなくともネットワーク構造を把握した医療情報技師もしくは準ずるスタッフが在籍することが、ネットワーク障害への迅速な対応へ必要であると考えられた。