一般社団法人 日本医療情報学会

[3-J-3-06] ディープラーニングを用いた胸部単純X線写真による肺機能検査の予測

*松田 卓也1、年森 亘2、田邊 裕貴1、吉田 和樹1、細川 貴晶1、森川 友朗3、松田 恵1、城戸 輝仁1 (1. 愛媛大学 大学院医学系研究科, 2. 十全総合病院, 3. 国立循環器病研究センター)

Chest X-ray, Deep Learning, Pulmonary Function

【目的】ディープラーニングを用いて胸部単純X線写真から肺機能検査の肺活量・努力肺活量・1秒量を予測するモデルを構築し、肺機能異常の予測が可能であるかを検証すること。
【方法】胸部単純X線写真と肺機能検査を2週間以内に施行された832症例を対象とした。学習用データセットとして637症例、検証用データセットとして195症例に分割した。畳み込みニューラルネットワークのResNet50を用いて、学習用データセットの胸部単純X線写真画像を入力とし、肺機能検査の肺活量・努力肺活量・1秒量を正解としてそれぞれ学習させ3種類のモデルを構築した。学習後の各モデルによって、検証用データセットの胸部単純X線画像から肺活量・努力肺活量・1秒量をそれぞれ予測させ、本来の肺機能検査の肺活量・努力肺活量・1秒量との相関をSpearmanの順位相関係数を用いて評価した。ディープラーニングによる肺活量・努力肺活量・1秒量を用いた場合の各種の肺機能障害の基準(%肺活量<80、%1秒量<80、1秒率<70)の診断能をROC(receiver operating characteristic)曲線の解析によって評価した。
【結果】ディープラーニングによる肺活量・努力肺活量・1秒量と肺機能検査の肺活量・努力肺活量・1秒量の間には強い相関がそれぞれ有意に認められた(r= 0.82, r=0.83, and r=0.77, p<0.01)。感度、特異度、曲線下面積は、%肺活量で58.3%、94.7%、0.89、%1秒量で35.7%、95.8%、0.83、1秒率で43.5%、94.2%、0.68であった。
【考察・結論】ディープラーニングにより胸部単純X線写真から肺活量・努力肺活量・1秒量を予測できる可能性がある。
【倫理的配慮】本研究は筆頭演者の所属機関の倫理審査委員会の承認下に施行した。