Japan Association for Medical Informatics

[3-J-4-06] 薬品マスタ上の医薬品名文字列を用いたYJコードの機械的マッピング・検証手法の検討

*Ritsu Honda1,2, Takehiro Fujii2, Takuya Iwamoto1, Kaoru Dohi2 (1. 三重大学医学部附属病院 薬剤部, 2. 医療情報管理部)

medical safety, YJ code, mapping, electronic prescription, medication master

【背景】 今日、HIS薬剤マスタの整備においてYJコードの重要性が高まっている。一般名処方や処方箋QRコード、電子処方箋などの利用が増加し、アレルギーや病名禁忌チェックなどHIS上での利用例も多い。近年、院外処方箋でオーダーと異なる薬剤が処方箋に記載され、複数の患者に投与される事故が報道され、手作業でのマスタ設定ミスが医療事故に繋がるリスクが浮上した。一方HIS上の数万件の薬剤情報を目視で確認するには膨大な労力が必要であり適切なチェックが困難である。
【目的】 薬剤マスタ上のYJコードを機械的にチェックし、新規項目も定期的に確認できる仕組みを構築することを目指す。
【方法】 HOTコードマスタ(MEDIS)上の、個別医薬品コードとレセプト電算処理システム用医薬品名のペアをリファレンスとし、2024年4月現在、当院HISに登録されているアクティブ薬剤(3403件)を実証データとした。これらのデータについて機械的に医薬品名を分解し、一意のベクトルデータとしてマトリックス化した。ハッシュ値を用いて照合を行い、該当しなかったものに対してはコサイン類似度を用いた照合を実施。計算にはAlkano1.3.1(NTTデータ数理システム)を用い、Pythonを併用した。
【結果】 実証データの約50%がリファレンスデータのYJと一致し、コサイン近似度を併用することで92.5%の項目が合致した。照合結果に差異があった241項目のうち、122項目は漢方薬の生薬製剤、残りの更に半数は院内製剤などの医薬品であった。また、このチェックにより複数項目で古いか異なるYJコードが検出された。
【考察】 誤判定も散見されたが、医薬品名の分割状況が不適切なものを修正することにより改善された。十分なリファレンスデータと医薬品名の適切な分割が重要であることが示唆され、本手法はYJコードのマッピングの検証に有用であると考える。
【倫理的配慮】非該当