Japan Association for Medical Informatics

[3-J-5-02] 看護・病態関連図作成演習におけるログデータを用いた個人評価方法の提案

*Moe Fujii1, Akiko Williamson2, Munehiko Sasajima1 (1. 兵庫県立大学 情報科学研究科, 2. 神戸大学医学部附属病院)

nursing care plan and pathological related diagram, group work, evaluation, groupware

【目的】
看護教育現場において,看護学習者は看護過程を展開する力を身に付けるために,看護・病態関連図を作成する演習を行っている.この演習をグループで行う場合に,演習の指導者は個人を適切に評価することが難しい.そのため,演習採点の負担をなるべく増やさずに,グループの個人を適切に評価する方法が必要とされている.本研究では指導者が学習者個人を評価するための参考情報をログデータから生成することを目的とする.
【方法】
グループでの看護・病態関連図の作成にオンラインツールを使用し,ログデータ(誰が図中の各オブジェクトを作成したか)から各個人の貢献度(≒作業した量)を算出し,指導者の個人評価の参考としてもらう.
【結果】
上記方法を実現するモジュールを開発し,これまでに実際の看護教育現場で2回の実験を行った.看護学習者にツールを使用して演習に取り組んでもらい,作業量に着目した2つの貢献度モデルにしたがって個人貢献度を算出した.いずれの実験でも作業量に応じた個人の貢献度を算出できた.課題としては,学習者全員がツールに入力できる環境が整っていない場合には適切に個人貢献度をはかれなかったり,参加者間の議論が活発ではない場合に提案手法により算出した個人貢献度と学習者の自己評価結果に乖離が発生したりすることなどが明らかになった.
【考察・結論】
実験を通して,評価基準が指導者や演習の目的に応じて変わることが分かったため,今後さらに検討する必要がある.また,指導者は関連図を採点する際に重要なキーワードまでの過程に着目しているとのことから,学習者の誰がその重要な過程作成に関わったのかを考慮する新しい貢献度モデルも現在作成しており,今後有効性評価に取り組む.
【倫理的配慮】
所属機関の規定により本研究は倫理審査の対象とはならないが,被験者に対する倫理的配慮(事前説明やオプトアウトなど)は行っている.