[3-J-5-03] 微生物検査シミュレータ開発における生成AI活用の試み
ChatGPT, Bacterial species identification, Test case generation
【目的】臨床検査の自動化が進む一方で,教育においては,依然として専門知識をもとに論理的に検査を進める実践能力の養成が求められている.現在我々は実践的な教育ツールとして,細菌検査をPC上で再現し,設定した架空症例をもとに学習できるシミュレータを開発している.実用化に向けた架空症例の作成,量産には多くの時間を要する状況にある.そこで今回,近年の生成AIが提示された問いに対し短時間で応答することに着目し,シミュレータ開発の効率化に有用か検討した.
【方法】本シミュレータは, JavaScriptのCanvas機能を利用し,ブラウザ上で動作する.分離培養,グラム染色,腸内細菌の鑑別同定,オキシダーゼ試験,コアグラーゼ試験,カタラーゼ試験,Lancefield分類の検査を再現し,マウス操作で培地に検体を塗抹するとコロニーが出現する描画,腸内細菌確認培地での培養前後のイラスト提示,グラム染色鏡検像の提示の他,凝集反応等を再現する描画を組み込んだ.架空症例(患者情報,検体情報,菌名とその微生物検査所見からなるデータセット)を設定し,菌種同定までの一連の推論を促す機能を実装した.試作品には,Staphylococcus aureus, Salmonella enterica, Streptococcus agalactiae, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniaeの5つの菌の架空症例を登録した.生成AI(ChatGPT 4o)では自然言語での対話が必要なことから,(1)画像で示される微生物検査所見はテキストの検査結果に置き換えた上で,菌名を除くデータセットを提示し,菌種の同定を指示した.さらに,(2)上記のデータセットをテキストで与え,別の菌種の架空症例を新たに5つ生成するよう指示した.
【結果】ChatGPT 4oは(1)5つの菌種を全て正しく答えた.(2)架空症例を5つ生成したが,それらの微生物検査所見には多数の誤りが認められた.
【考察】現時点での生成AIは(1)与えられた検査所見に応じた菌種の同定は十分可能である一方, (2)架空症例の生成は困難と考えられた. 開発者側で準備する架空症例(データセット)の検証目的には利用可能と思われる.
【方法】本シミュレータは, JavaScriptのCanvas機能を利用し,ブラウザ上で動作する.分離培養,グラム染色,腸内細菌の鑑別同定,オキシダーゼ試験,コアグラーゼ試験,カタラーゼ試験,Lancefield分類の検査を再現し,マウス操作で培地に検体を塗抹するとコロニーが出現する描画,腸内細菌確認培地での培養前後のイラスト提示,グラム染色鏡検像の提示の他,凝集反応等を再現する描画を組み込んだ.架空症例(患者情報,検体情報,菌名とその微生物検査所見からなるデータセット)を設定し,菌種同定までの一連の推論を促す機能を実装した.試作品には,Staphylococcus aureus, Salmonella enterica, Streptococcus agalactiae, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniaeの5つの菌の架空症例を登録した.生成AI(ChatGPT 4o)では自然言語での対話が必要なことから,(1)画像で示される微生物検査所見はテキストの検査結果に置き換えた上で,菌名を除くデータセットを提示し,菌種の同定を指示した.さらに,(2)上記のデータセットをテキストで与え,別の菌種の架空症例を新たに5つ生成するよう指示した.
【結果】ChatGPT 4oは(1)5つの菌種を全て正しく答えた.(2)架空症例を5つ生成したが,それらの微生物検査所見には多数の誤りが認められた.
【考察】現時点での生成AIは(1)与えられた検査所見に応じた菌種の同定は十分可能である一方, (2)架空症例の生成は困難と考えられた. 開発者側で準備する架空症例(データセット)の検証目的には利用可能と思われる.
