[3-J-6-01] 大規模レセプトデータを用いた探索的Sequence Symmetry Analysis(SSA)プログラムの構築
Sequence Symmetry Analysis (SSA), Claim data, Pharmacoepidemiology
【目的】Sequence Symmetry Analysis (SSA)は診療情報がデータベースとした薬剤疫学シグナル検出手法であり、医薬品医療機器総合機構での試行や論文化がされてきた。一方で過去の研究・検討は特定の医薬品・傷病に限定した使われ方であり、多種類の医薬品・傷病に対する探索的な使われ方はされてこなかった。そこで今回、大規模レセプトデータを用いて探索的なSSAが実行可能なプログラムの作成を試みた。【方法】データは株式会社JMDCが保有する健康保険組合由来のレセプトデータ・台帳データを用いた。暴露を医薬品、イベントを傷病の発生と定め、初回暴露月と初回イベント月の取り扱いやRun-in-Periodの設定は1つに固定した。医薬品はフォシーガ、傷病はランダムに選択したICD10(2013年版)の3桁コード30種類とした。分析に用いた言語はPythonでありAWS S3に格納してあるレセプトデータを集計した上でSSAの計算を実行するコードとした。結果は各傷病の調整順序比とその95%信頼区間を算出した。【結果】有意なシグナルが検出された傷病はL98(皮膚及び皮下組織のその他の障害、他に分類されないもの)とL29(そう<掻>痒症)であった。またフォシーガの適応症である傷病(I49、E11)の調整順序比は有意に1.0を下回っていた。【考察・結論】有意なシグナルとなった傷病はいずれも皮膚疾患であり、フォシーガの既存副作用と整合する結果であった。また、通常は傷病診断後に処方が行われることから、適応症において調整順序比が1.0を下回ることは妥当と考えられた。以上から、本プログラムはシグナル検出の初期段階での探索的な検討に有用であることが示唆された。【倫理的配慮】匿名加工情報を用いたデータベース研究であるため、特段の倫理的配慮は行っていない。
